2014 Fiscal Year Research-status Report
防災行政の適正遂行に向けた防災・危機管理担当自治体職員の健康管理・業務管理対策
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26350484
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関 奈緒 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30270937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 直仁 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (40270938)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防災 / 自治体職員 / 健康管理 / 作業管理 / 作業環境管理 / 産業保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】地域防災計画・政策の適正遂行に向けて必須となる災害対応業務担当行政職員の健康に及ぶ短期的・長期的健康影響を明らかにする。また今後さらなる強化が求められる防災行政において,負担の増加が危惧される都道府県及び市町村の防災・危機管理担当部署の現状と課題を明らかにし,今後の防災・危機管理行政の適正遂行に向けた業務管理のあり方について,労働衛生の三管理(作業管理・作業環境管理・健康管理)の観点から検討する。【平成26年度の研究実績】平成26年度は新潟県庁の関連部局との連携協働体制を構築するとともに,平成16年10月21日に発生した新潟県中越地震に際して新潟県が本研究の研究代表者の協力により実施した新潟県職員健康調査(ベースラインデータ)の整理,新潟県中越地震時に災害対応業務に従事した職員(以下,震災対応職員)のインタビュー調査及び現在危機管理担当部署に所属している職員(以下,危機管理部署職員)へのインタビュー調査を計画,実施した。震災対応職員のインタビュー調査からは,震災発生後に急激に生じた量的,質的業務負荷,時間外労働の増加,休日確保困難などにより,不眠等の心身不調が早期より出現した職員がいる一方,急性期には睡眠がとれない,食事がとれないなどの状態にあっても不調や疲労感の自覚は全くなく,数か月後~2年後に突然脱力感,疲労感などが生じた職員もいることから,災害対応業務に従事する職員の健康管理は数年単位で長期的に行うことの必要性が示唆された。また業務形態等については災害早期において関連機関との連携体制構築が困難なことも多く,平時からの体制づくりが業務の適正遂行のみならず,急性期の職員の不安やストレスの軽減にも有用であると考えられた。危機管理部署職員のインタビューからは心理的負担感の強さや人事管理上の課題が大きいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は1)研究フィールドとなる自治体(新潟県)との連携協働体制の構築,2)平成16年10月21日に発生した新潟県中越地震に際して新潟県が実施した新潟県職員健康調査(ベースラインデータ)の整理,3)新潟県中越地震時の震災対応業務従事職員に対するインタビュー調査,4)平成26年度現在防災・危機管理担当部署の職員を対象とするインタビュー調査を計画しており,1),3),4)については達成し,2)についてもベースラインデータは平成27年度の調査に向けたリンケージの構築を除き,概ね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)平成26年度に実施したインタビュー調査の解析及び平成16年の中越地震時に実施した調査票の内容を合わせて検討し,「中越地震後10年における追跡調査」の調査項目を決定する。作成した調査票を用いて平成27年度中に新潟県職員を対象とした追跡調査を実施し,震災対応業務が自治体職員の健康に及ぼす長期影響について解析する。 2)47都道府県及び全国の市町村から抽出した500市町村を対象に郵送法による質問紙調査を実施し,危機管理担当部署における職員の健康管理,人事管理の実態把握と課題の抽出を行う。 3)平成26年度の研究成果及び平成27年度以降に実施する1),2)の研究成果に基づき,自治体職員における災害対応業務の長期影響を明らかにするとともに,今後の防災・危機管理行政の適正遂行に向け,防災・危機管理担当自治体職員に対する適切な健康管理,業務管理対策を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)として本システム上に計上されている金額の75%は物品購入等の納品検収は平成26年度内に完了したが、支払いが4月となり次年度となったものであり,支出済みである。なお残りの25%は次年度の大規模調査費用として充当する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は新潟県職員調査(約8000人)及び全国の自治体を対象とした大規模調査を予定している。これらの調査票作成費等が申請時の予算額を超過する可能性が予測されたことから,次年度使用額の残額と翌年度分として請求した助成金を合わせて本調査費用とする。
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