2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350512
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古川 裕之 北里大学, 一般教育部, 講師 (20406888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 秀明 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60296522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | OCT / 医用生体工学 / 光干渉断層計測 / 生体計測 / 眼球計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度前期は、昨年度に引き続き光干渉断層計測装置(OCT装置)の改良と調整を行った。昨年度に開発した、眼軸長の計測と前眼部の歪曲のない断層画像を収得できる装置に対して、干渉計の改良と接眼部分の微細な調整を行ったことにより、システム感度を更に1dB向上させた。また、年度初めにおいて、空気中で13μm程度であった奥行き分解能を8μm程度までに向上させることができた。さらに、申請時に示した全眼球撮像OCT装置の改良版(特許出願済)とノイズを効率よく低減することが可能なデータのサンプリング方法(特許出願済)を考案した。 平成27年度後期は、本OCT装置の計測精度を確定するための基礎実験を行った。光路長の異なる3種類の石英セルにそれぞれ生理食塩水を入れ、それぞれの石英セルの長さをOCT装置で測定し、光学的距離の理論値と比較検討した。その結果、OCT装置の実測値は理論値よりも1%程度大きな値となった。この僅かな差の原因は、生理食塩水に含まれる不純物の影響であると考えられるため、生理食塩水を純水に変えて再度実験を行っている。 一方、ソフトウェアーの開発は、ボランティアの人眼によって取得した三次元画像データを用いた解析を行った結果、ほぼ全自動で境界抽出が可能となり、高精度に三次元の屈折補正が行えるようになった。また、IOLMasterやLenstar等の既存の装置を用いてボランティアの眼パラメータ(角膜厚、前房深度、水晶体厚)を計測し、本ソフトウェアーの解析値と比較した。その結果、本ソフトウェアーの解析値と既存の装置で得られた値とで2%から5%程度の差があったため、この差の原因を現在考察しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画目標の一つは、断層画像の実時間表示を達成することであった。当初の計画では、窓関数の掛け算、パワースペクトルの計算、バックグラウンドノイズの引き算をDAQ(data acquisition) board内のFPGA(field programmable gate array)で処理するためのプログラムを開発し、ハード的に描画速度を向上させる予定であった。しかし、OCTデータの収録と上記の数値計算とを並列に処理するプログラムの開発を進めた結果、ソフト的に描画速度を毎秒20枚(横方向400本)程度にまで向上させることができた。毎秒20枚の描画速度は、実時間表示の半分程度の速度ではあるが、撮像位置をストレスなく決定することが可能な速度であり、臨床研究を行う上では十分な速度であったため、当初予定していたFPGAのプログラム開発を取りやめた。この並列処理のソフト開発により、臨床現場での利便性を向上させるという本来の目的が達成できただけでなく、開発費用も削減することができたからである。また、ソフトウェアーの開発も当初の計画よりも進み、ほぼ全自動で三次元の屈折補正が行える解析プログラムの作成まで至ったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
ハードウェアーの開発:昨年度に引き続きOCT装置の調整と干渉計の改良を行い、奥行き方向の長さの精度を更に向上させると共に高感度化を図る。その後、曲率半径が既知である模型眼を撮像し、三次元の屈折補正の精度を確定させる。また、前眼部と後眼部の明瞭な立体画像の撮像及び眼軸長の計測が高速で行える全眼球撮像OCT装置の開発も並行して行う。 ソフトウェアーの開発:三次元画像データから眼パラメータを算出する際には、まず隅角平面を求め、その面から角膜前面・後面、水晶体前面・後面への距離を求めているが、この解析で使用している計算式やアルゴリズムを再検討し、既存の装置で得られた眼パラメータに近い値になるまで精度を向上させる。 臨床研究の実施:ハードウェアーとソフトウェアーの開発が終了した後、OCT装置を臨床現場に設置する。ボランティアの眼パラメータを再度計測し、測定値の妥当性を再検証した後、白内障患者の撮像へと移行する。
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Causes of Carryover |
ソフトウェアーの開発で断層画像の高速描画表示を行うことができたため、当初予定していたFPGAのプログラム開発を取りやめた。このFPGAのプログラム開発を行わなかったことが次年度繰越の助成金の生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
FPGAのプログラム開発を行わなかったことで生じた助成金は、装置を更に高感度にするための光学部品の購入費に充てる。また、翌年度に請求した助成金は、当初の計画に従って、臨床研究での利便性を向上させるための電気部品の購入費、学会発表の旅費、論文投稿料等に用いる。
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Research Products
(2 results)