2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上竹 勇三郎 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90571977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧本 禎之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00396699)
上田 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40272562)
中澤 栄輔 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90554428)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国内研究者交流 / 国内文献検索 / 国際文献検索 / 統合指針の施行 |
Outline of Annual Research Achievements |
医学の健全な発展にとって必要不可欠な「研究倫理支援サービス」の実態を把握すること、また、実態の把握を通して理想的な研究倫理支援サービスを予描し、それに向けてサービスを提供する研究倫理支援者に必須の能力を可視化するという最終目的達成に向けて、(1)東京大学医学部研究倫理支援室で2009年より実施している研究倫理支援サービスの実態を明らかにし、(2)研究倫理支援と隣接領域である臨床倫理支援、治験審査支援とを比較し、(3)国内各医療機関・医学研究機関における研究倫理支援サービスの実状を調査し、それに基づき、実証的データを踏まえた倫理的検討を実施すべく進めている。 昨年度は文献調査を中心に実施した。文献調査を実施したところ、研究倫理支援サービスの機能と研究倫理支援者の職能に焦点を絞った研究は、適切な研究倫理支援サービスの運用、延いては適切な医学研究の発展のために大変有効であると考えられたが、国内はもとより国外においても十分に研究が実施されているとは言い難く、検索可能な論文数は少なく、国内外の状況把握は困難を極めている。そのため、平成27年度下半期に予定していた、「国内の研究倫理支援サービス施設および研究倫理審査委員会の状況に関する文献調査」を前倒して実施し、現状把握を急いだ。概ね、国内外の文献調査は完了した。文献調査を通じ、国内の同業者との情報交換の必要性に迫られ、情報交換に力を注いだ。そこで、支援部門のスタッフは実務に追われ、研究、論文作成に至りにくいという実態も明らかとなり、文献調査のみでは状況把握がし辛い現状が浮き彫りとなっている。また、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の施行に伴い、施行前後の体制整備との兼ね合いもあり、研究の進め方につき再考することにより、より多くの成果が得られるものと考え、現在、研究分担者と協議中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本領域は、国内はもとより国外においても十分に研究が実施されている領域とは言い難く、検索可能な論文数は少なく、国内外の状況把握は困難を極めている。概ね、国内外の文献調査は完了したが、文献調査や国内の同業者との情報交換を通じ、支援部門のスタッフは実務に追われ、研究、論文作成に至りにくいという実態も明らかとなり、文献調査のみでは状況把握がし辛い現状が浮き彫りとなっている。そのため、平成27年度下半期に予定していた、「国内の研究倫理支援サービス施設および研究倫理審査委員会の状況に関する文献調査」を前倒して実施した。さらに、同業者との情報交換に力を注いだ。また、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の施行に伴い、施行前後の学内の体制整備中であることから、研究の進め方につき再考することにより、より多くの成果が得られるものと考え、現在、研究分担者と協議中である。また、国内他施設においても、新指針施行により、事務局の体制や機能の強化を図る施設も多く、指針の移行期に調査を実施するよりも、指針施行後ある一定期間経過後の安定した時期に学内外、国内外の調査を開始すべきと考え、仕切り直しを図っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新指針施行後の学内整備が終了した段階で、ユーザー、審査委員、支援室スタッフにパイロット調査として質的調査を実施し、インタビューガイドを作成する。その後、可及的速やかに、対象者を拡大し、本調査を実施する。具体的な内容は、研究倫理申請上で迷う点・疑問点、遭遇した具体的な困難事例、被験者保護と個人情報(匿名化をする場所、主体、その手法等)について深堀り、学外施設との対応について深堀り、安全性の確保とその対策についての深堀り、利益相反に関する深堀り、倫理委員会に求めるもの、および、研究倫理支援サービスに求めるものなどである。 今年度上半期には、平成26年度に実施した研究倫理支援サービス機能の現状と可能性に関する質的調査の結果を基に質問紙を作成し、研究倫理支援室の全ユーザー4,000人を対象にした全数量的Web調査を実施する。また、研究倫理支援サービス機能の現状と可能性に関する文献研究、質的調査、量的調査の結果を取りまとめる。さらに、上半期から下半期にかけて、関連医療支援サービス調査を開始し、東京大学医学部附属病院の患者相談・臨床倫理センターのスタッフ3名、ユーザーである医療従事者5名に対して、半構造化面接を実施する。インタビューガイドに関しては、平成26年度までに実施した研究倫理支援室スタッフ・ユーザーへの質的調査を参照する。さらに、下半期、東京大学医学部附属病院の臨床研究支援センターのスタッフ3名、ユーザーである研究者5名に対してIRBでの治験審査に関する倫理支援の現状と研究倫理支援室の業務との接点に関して半構造化面接を実施する。また、臨床倫理支援および治験支援と、研究倫理支援との接点と差異に関する取りまとめを実施する。今年度はすべて学内を対象とした研究を予定しており、計画を実施する上で、体制の整備状況を鑑みながら、より多くの成果が得られるべく、研究を進める方針である。
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Causes of Carryover |
文献調査を通じて、国内同業者との、よりタイトな情報交換が必要であることが判明し、計画がやや遅れていること。新たな倫理指針の施行に伴い、より多くの研究成果を得るには、研究施行のタイミングを慎重に見計らった方がよい状況となったことから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
概ね平成26年度および平成27年度の計画の通りの使用を予定している。学会での情報収集は、今年度は新指針の施行後であるため、昨年度予定していたの学会出席費用も今年度にあて関連学会に出席し、より多くの情報収集を図る。
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