2015 Fiscal Year Research-status Report
身体性とモラルの関係性-山崎闇斎の教育思想を中心に-
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26350766
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
西脇 満 神戸学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40461016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 祓 / 心神 / 身体性 / 敬 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.若林強斎の神道論と身体性 スポーツサイエンス10-1(2016年2月) 山崎闇斎の孫弟子にあたる若林強斎についての研究を主に行った。若林強斎は闇斎の弟子の浅見絅斎の弟子。絅斎は闇斎の朱子学を継承したが、神道については継承するところまでいかなかった。強斎は絅斎から朱子学について学んだ後、闇斎の思想はむしろその神道の教えにあると考え、闇斎の神道における弟子である正親町公道などから書籍の書写を許され、神道の研究を行ったが、本研究は強斎の「神道大意」を中心に調べ、強斎が朱子学と神道が根本において同一と看破した闇斎の教えを受け継ぎ、日常生活において身体を使った敬や祓により朱子学と神道が目指す聖人や清浄な心神を取り戻すことができると考えていたことを明らかにした。
2.滝津亭記に見る若林強斎の祓と体育論 身体運動文化論攷(2016年3月) 滝津亭は強斎が晩年、神道の教えを実践するため琵琶湖畔に借り受けた庵で、滝津亭記はその当時の強斎の心境などをつづったものである。滝津亭記を通じて強斎は非常に激しく、苛烈に生活を戒め、祓いを実践すべきことを説いた。滝津亭記は一見するとそのような具体的な内容なみられないようにも思われるが、強斎が心神を取り戻すため祓いの重要性を説いた中臣祓師説などと共通する文言や言い回しなどが見られることから、滝津亭記の中に祓いを通じて心神を取り戻そうとする強斎の強い決意や意志を読み取れることについて説明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は闇斎の神道思想を受け継いだとされる孫弟子の若林強齋を中心に、その神道思想を主に調べたが、ほぼ計画通りの研究成果を残せたと考えている。前年に浅見絅斎について研究した時も、「身体性」に関する具体的な言及はさほどみられず、それは強斎についても同じだが、強斎は祓いを熱心に行うことを説いたことで、その身体面の重要性を間接的に示したとも考えられる。これは闇斎の文献ではやや読み取りにくい側面もあることから、強斎を通じてこの点に理解が至ったのは大きな成果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は計画の最終年となるが、闇斎の思想を解明するには正直なところ到底不十分である。しかし浅見絅斎と若林強斎を通じて闇斎の朱子学、神道に関する教えの大略は理解できたと考えているので、今年度はそこから具体的な身体性のフォルムの追求、解明に力を入れ、早期に論文をまとめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
必要な文献などの購入を引き続き勧める計画
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
身体性やフォルムに関する文献の収集、スポーツ哲学関連のインタビューを行うアドバイスを受けるための出張旅費、謝礼など
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Research Products
(2 results)