2016 Fiscal Year Annual Research Report
Relationship between physicality and moral maily Yamazaki Ansai's Educational Thought
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26350766
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
西脇 満 神戸学院大学, 共通教育センター, 教授 (40461016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 吉田松陰 / 浅見絅斎 / 靖献遺言 / 忠孝類説 / 講孟箚記 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.吉田松陰「講孟箚記」に見る身体性 -浅見絅斎の影響を中心に-(2017年2月) 吉田松陰の「野山獄読書」には浅見絅斎の主著「靖献遺言」の記述があり、また「野山獄文稿」所収の「同囚富永弥兵衛与ふるの書」には松陰が靖献遺言を読んだ時の感銘が記されている。そこから松陰は浅見絅斎、あるいはその師である山崎闇斎の影響を受けているものと考え、その身体論においても絅斎との共通点があると予想し、松陰の主著「講孟箚記」を中心に絅斎の思想との共通点を見いだそうとした。 近藤啓吾氏が指摘しているように、松陰は箚記の中で絅斎という名前には言及していなかったが、忠孝が相克する状況における日本や中国の先人の行動について下した評価に忠孝類説の内容と非常に多くの共通点があるなど、絅斎の影響は明らかに認められる。しかし絅斎は忠を高めるため講学と剣術の必要性を説いたが、松陰は講学の必要性は説いたものの、絅斎のように剣術などに関連する明確な記載はなかった。つまり松陰は思想的には闇斎、絅斎と続く崎門学派の影響は間違いなく受けているとは思われるが、剣術に関する記述までは見いだせなかった。 今後は同じ講孟箚記の記述の中から、絅斎が主張した講学と剣術という観点に限定するのではなく、松陰が考える忠を儒教的なものと尊皇的なものに分けた上で、絅斎あるいは崎門学派の影響をより幅広い観点から検討していきたいと思う。松陰は修身斉家治国平天下の価値観を強く持っているが、同時に日本の特殊性と日本の特殊性に思いを致し、尊皇的な価値観も明確に持っている。そのような中で日常における講学以外に松陰が生活の中で忠を高めるために必要と考えた要素をについて、それが闇斎の思想から来るものであったとの仮定に基づき考察を進めていきたいと思う。
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Research Products
(1 results)