2014 Fiscal Year Research-status Report
健康な高齢者への運動介入による精神健康度向上及びストレス性物質分泌量変化の検証
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26350857
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
多田 章夫 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (90586934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精神的ストレス / 唾液 / コーチゾル / sIgA / 運動プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は計画に従い、対象者の体力と精神健康度および唾液ストレス性物質との関連性についての横断研究を行なった。対象者は兵庫大学ロコモティブシンドローム予防講座に参加した60歳以上の高齢者45名である。体力測定項目は握力、脚力、歩行能力、障害歩行能力、ファンクショナルリーチ、開眼片足立ち等であった。精神健康度についてはPOMSを用い、唾液ストレス性物質としてはコーチゾル、sIgA、αアミラーゼを用いた。 唾液ストレス性物質各測定項目とPOMS各測定項目との関連については、「活気」-「sIgA分泌速度」(p=0.032)のみで有意な相関関係が認められた。POMS測定項目間では「抑うつ」-「緊張」(p<0.001)、「抑うつ」-「怒り」(p<0.001)、「抑うつ」-「疲労」(p=0.011)「抑うつ」-「混乱」(p<0.001)、「緊張」-「怒り」(p=0.001)「緊張」-「疲労」(p=0.018)、「緊張」-「混乱」(p<0.001)、「怒り」-「疲労」(p=0.016)、「怒り」-「混乱」(p=0.002)、「疲労」-「混乱」(p=0.022)、唾液ストレス性物質各測定項目間で「α-アミラーゼ」「sIgA濃度」(p<0.001)、「α-アミラーゼ」「sIgA分泌速度」(p<0.001)に有意な相関関係が認められた。 2回測定を行なえた被験者における対照群と運動プログラム介入群のPOMSおよび唾液ストレス性物質の変化を比較した。POMSでは、対照群においては「抑うつ」点数の増加、介入群は「緊張」「抑うつ」「疲労」点数の増加が認められた。唾液ストレス性物質は対照群でコーチゾル濃度の増加及びsIgA濃度が減少したのに対し、介入群は8名中6名にsIgA濃度の増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は体力と精神健康度および唾液ストレス性物質レベルとの関連性についての基礎調査および横断研究を行う計画である。被験者数は予定より少なかったが、測定項目間の関連性を解析でき、一連の調査を実施する基盤を形成した。 また、一部の被験者に対し運動プログラムの介入を行い対照群との比較解析で、ストレス性物質の挙動の相違が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は運動プログラム介入群と対照群において、ベースラインおよび6ヶ月間の介入期間後に体力、精神健康度、唾液ストレス性物質レベルを測定し、両群における変化の程度を比較解析する。供給するプログラムはミニトランポリンを使用する。 精神健康度と唾液ストレス性物質の変化の様相がパラレルであるかを解析する。
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Causes of Carryover |
本学主催の介護予防事業参加者を対象としたが、一部の会場で、参加者数が当初見込んだ人数を大きく下回った。そのため、総被験者数も予定より少なくなってしまった。また、得られたデータの量が少ないため、学会での報告ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定通り、運動プログラム介入による唾液ストレス性物質の濃度の変化を測定する。より信頼性の高いデータを得るためにより多くの被験者が確保できるよう努力する。 今年の10月に開催される日本公衆衛生学会にて発表する予定である。
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