2015 Fiscal Year Research-status Report
健康な高齢者への運動介入による精神健康度向上及びストレス性物質分泌量変化の検証
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26350857
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
多田 章夫 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (90586934)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動介入 / 精神健康度 / 精神的ストレス / 高齢者 / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は計画に従い、地域高齢者への運動プログラム提供に基づいた運度介入による精神健康度(POMSテスト)およびストレス性物質分泌の変化について解析した。対象者は東播磨地域(加古川市・高砂市・稲美町・播磨町)の60歳以上の住民を対象に実施している「兵庫大学ロコモティブシンドローム予防講座」に参加した高齢者49名(運動介入群(以下、介入群)20名、対照群29名である。介入群は、運動プログラム(運動強度HRmax60%前後、主観運動度12-13)に基づき、1日20分、週2回、6ヶ月間、自宅でプログラムに従い運動を継続的に行った。介入群は運動プログラム開始前と終了後にPOMSテスト、唾液ストレス性物質の測定を行った。対照群は約6ヶ月間の間隔をあけてPOMSテスト、唾液ストレス性物質の測定を行った。対照群と介入群の精神健康度および唾液ストレス性物質分泌量(濃度)は2度の測定間の変化を比較した。統計解析は対応のあるサンプルのt検定を用いた。 [POMS] 介入群では運動介入後に「疲労感」得点で有意な減少が見られた(6.1±5.0→3.2±2.8、p=0.020)。「緊張」や「活気」得点では有意差には至らなかったが増加傾向が見られた(緊張:5.5±4.6→4.0±2.9、p= 0.097;活気:7.3±3.4→8.7±3.4、 p=0.055)。対照群では「疲労」得点、「抑うつ」得点で有意な増加(疲労:2.7±1.9→3.7±1.9、p=0.015;抑うつ:1.1±2.0→2.2±2. 2、p=0.005)が見られた。両群の他の測定項目では著明な変化は認められなかった。 [唾液ストレス性物質] 対照群ではα-amylaseの濃度に有意差には至らないが減少傾向が見られた(225.4±220.8→217.1±179.4、p=0.061(単位:U/mL))。対照群の他の項目及び介入群の全項目では著明な変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、2年目以降は対象者(地域高齢者)への運動プログラムによる介入(運動介入)による精神健康度および唾液中ストレス性物質の分泌の変化を解析することを予定した。平成27年度期間中にある程度の人数の対象者(介入群、対照群合わせて約50人)を確保し、運動介入や精神健康度および唾液中ストレス性物質の測定を行った。得られたデータを基にして予定した解析を行うことができた。運動介入により精神健康度テストにおいて様々な項目で有意な変化が認められるという研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
統計的に有意な関連性を解析するのに充分な数のデータを得られたとは言い難い。そのため、測定項目の中には、対象者数不足により有意差に至らないと思われるものも見られた。3年目の研究においては、新たな対象者に対し、同様の研究を遂行し対象者数を増やすことにより統計解析をより確固なものとする。さらに、介入群と対照群の比較にとどまらず、入群において運動介入により精神健康度の変化の発生に強く寄与する宿主要因を探索する予定である。
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Causes of Carryover |
被験者数が予定より少なかったため、唾液ストレス性物質測定検査費用が予定額に達しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、新たな対象者を確保し、同様の唾液検査を行う。今年度も、日本公衆衛生学会に演題を発表する予定である。さらに、論文作製のための支出(文献検索、英文校正サービス等)を検討する。
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