2015 Fiscal Year Research-status Report
機能画像情報を利用した非アルコール性脂肪性肝疾患の非侵襲的病態評価法の確立
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26350882
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯辺 智範 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70383643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
岡本 嘉一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) / MRI / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)は、肝細胞に脂肪沈着のみを認める単純性脂肪肝と、脂肪沈着に加えて肝細胞の壊死・炎症・線維化を伴う非アルコール性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)に大別される。NASHは、NAFLDの重症型という位置づけであり、肝硬変や肝細胞癌を高率に引き起こす。よって、NAFLDの中からNASHを拾い上げ、早期に治療することが求められている。NASHを拾い上げるためには、肝生検による病理組織学的な診断がゴールドスタンダードであるが、高い侵襲性と客観性の低さに問題がある。 本研究の目的は、最新のMRIと超音波検査技術を駆使した“機能画像情報”からNAFLDの病態をスコアリングするシステムを構築し、高精度かつ非侵襲的にNASHを拾い上げるための新たな診断法を確立することである。本研究は、データ取得の最適化、臨床データ(機能画像情報)の取得、機能画像情報に基づいたNAFLDの重症度分類(スコアリング)の3つのステップにより、最終目標達成に向けて進めている。 平成26年度は、MRIデータ(MR spectroscopy, MR perfusion, MR diffusion等)と超音波データ(硬さ, 脂肪量)を取得するための撮像パラメータの最適化に成功した。平成27年度は、最適化したパラメータを使用して、ボランティアとNAFLD患者を対象に、機能画像情報(MR, 超音波)と血液・体組成データを取得した。最終的には、機能画像情報をスコアリング(点数付け)し、さらに、このスコアリングからNAFLDの重症度を分類することを目標としている。平成27年度に臨床データを取得できたことは、最終目標達成に向けての大きなステップになったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるにあたり、本申請者と研究分担者は、超音波や機能的MRIを使った研究を10年以上にわたって行ってきた実績があり、その蓄積した知識と手法が活用できたと考えている。本研究では、MRIや超音波検査の装置、さらに特殊なデータ解析ソフトも必要になるが、研究に必要な環境は概ね整っていた。以上の理由により、本研究は申請通りに概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は2本立てで研究を進める。1つ目は平成27年度に引き続き、臨床データ(ボランティアとNAFLD患者)を取得する。2つ目は機能画像情報をスコアリング(点数付け)し、さらに、このスコアリングからNAFLDの重症度を分類することである。まず、取得した機能画像情報(MRIデータ, 超音波データ)と血液・体組成データとの関連性を分析する。次に関連性の高い機能画像情報に0~5の点数をつける(全く関連がない:0点、極めて関連が強い:5点)。最後に、これらの合計点数からNAFLDの重症度を分類する。この評価はエクセルシート(Microsoft Excel)を用いてシステム化する。
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Causes of Carryover |
一部、公表できる成果を得られなかったため、予定していた学会発表を取りやめたことが主な理由である。研究を進めるうえで必要な備品や消耗品を低コストで入手できたことも理由の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究は概ね順調に進んでいる。平成28年度は本研究の最終年度ということから、国内外の多くの学会で成果を公表する計画である。研究を進めるうえで必要な備品や消耗品は、これまで通り可能な限り低コストで入手することに努め、必要に応じて人件費・謝金に活用する計画である。
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Research Products
(4 results)