2016 Fiscal Year Research-status Report
軽度認知障害から認知症への進行予測を可能にするコンピュータ支援診断システムの開発
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26350902
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
児玉 直樹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (50383146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 裕之 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (00348129)
山口 弘次郎 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 准教授 (40267927)
小杉 尚子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (80589648)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 軽度認知障害 / アルツハイマー型認知症 / ADAS / データ解析 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
物忘れを主訴としてクリニックを受診、認知機能データベースに登録された軽度アルツハイマー型認知症患者192名、軽度認知障害患者138名の計330名を対象に、VSRADから得られるVOI内萎縮度、全脳萎縮領域の割合、VOI内萎縮領域の割合、萎縮比の4つの指標,ADAS-Jcogの11の下位検査項目について検討した。 軽度認知障害および軽度アルツハイマー型認知症におけるVSRADから得られたVOI内萎縮度、全脳萎縮領域の割合、VOI内萎縮領域の割合、萎縮比の結果より、VOI内萎縮度、全脳萎縮領域の割合、VOI内萎縮領域の割合、萎縮比の全てにおいて軽度認知障害と軽度アルツハイマー型認知症の間で有意な差が認められた。また、ADAS-Jcog合計点は軽度認知障害は9.16点、軽度アルツハイマー型認知症は20.25点であり、統計的に有意な差が認められたADAS-Jcog合計点とVOI内萎縮度、全脳萎縮領域の割合、VOI内萎縮領域の割合、萎縮比それぞれの相関係数を求めたところ、全てにおいて有意な相関が認められた。ADAS-Jcogの11の下位検査項目のうち、構成行為のみ有意な差は認められなかったが、それ以外の10項目については軽度認知障害と軽度アルツハイマー型認知症との間で有意な差が認められた。さらに、軽度認知障害と軽度アルツハイマー型認知症の間で有意な差が認められた14項目についてステップワイズ法による判別分析を行った結果、軽度認知障害と軽度アルツハイマー型認知症を判別するのに投入された項目はVSRADから得られた全脳萎縮領域の割合、ADAS-Jcogの下位項目である見当識、単語再生、再生能力、物品呼称の4項目の計5項目であった。 これらのことから、5項目は軽度認知障害と軽度アルツハイマー型認知症を鑑別するのに有効な項目であると考えられ、定期的にフォローアップすることが必要考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、データ解析作業を中心に研究を実施してきた。特に、頭部MRI画像による脳萎縮の変化、脳形状変化の特徴や認知機能検査のサブ項目などのデータ解析結果から、軽度認知障害および軽度アルツハイマー型認知症の診断に有用な項目の抽出作業を行うことができた。また、軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への進行を予測することが可能な検査項目の抽出も行うことができた。さらに、軽度認知障害およびアルツハイマー型認知症の診断に有用な客観的かつ定量的な情報を医師に提供し、軽度認知障害に対して適切な診断を促すことを支援するシステムの開発に着手した。 今後、開発しているシステムの有用性について検証するとともに、軽度認知障害からアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症などへの進行予測、および認知症状の予後予測について、医師、看護師や介護職員などの医療従事者、さらには患者とその家族に対して客観的に説明することが可能なシステムの開発を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、開発しているシステムの有用性について、医学的および工学的観点から評価を行うとともに、システムのさらなる改良を行う。さらに、臨床現場にて試験運用を行い、医療従事者から使用した際の問題点や改善点などの聞き取りを行う。 さらに、他の臨床医、特に認知症専門医、放射線科専門医に意見を参考に、時系列データ解析および軽度認知障害の早期診断手法および認知症への進行予測因子の抽出について再度検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
協力医療機関と定期的な研究打ち合わせを実施することはできたが、謝金等を支払うことができなかった。また、システム開発用計算機を安価に購入することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発したシステムの臨床評価を行うため、臨床医、特に認知症専門医や放射線科専門医に協力をお願いするとともに、謝金等の支出を行う。また、研究成果の公表に力を入れるため、旅費の計上を行う。
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Research Products
(4 results)