2015 Fiscal Year Research-status Report
種々の脂肪酸摂取および直接投与が心血管機能に及ぼす効果の検討
Project/Area Number |
26350904
|
Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
加園 恵三 城西大学, 薬学部, 教授 (90177387)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野部 浩司 昭和大学, 薬学部, 教授 (30276612) [Withdrawn]
竹之内 康広 城西大学, 薬学部, 助手 (30582233)
大竹 一男 城西大学, 薬学部, 助教 (50337482)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | エイコサペンタエン酸 / 血管内皮機能 / n-3系多価不飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、n-3系脂肪酸、特にエイコサペンタエン酸(EPA)のin vivoにおける作用を検討した。(検討1)ラットにおけるEPAまたはBCAA摂取による運動パフォーマンスに対する影響についての検討:(方法)5週齢雄性Wistarラットを4群に分け,走行トレーニングを行わないRest群、Training群、EPA+Training群、BCAA混合物+Training群とし、トレーニング期間は4週間とした。(結論)本研究においては、持久力は各群で有意差を認めなかった。理由として以下の2点があげられる。1)1日の総運動量が少なくBCAAによる筋損傷回復力の効果が見られなかった。2)EPAの投与期間が短く、赤血球変形能向上作用を介した持久力向上効果が見られなかった。(検討2)男子駅伝部選手における魚油摂取による赤血球および血管内皮機能に及ぼす影響の検討:被験者;城西大学男子駅伝部の1年生12人を対象とした。ランダムに選ばれた約2分の1の対象者は、採血検査の翌日から魚油製剤20粒/日(EPA1.6g/日)を4週間服用した。(結果)1.血中EPA濃度 研究の前後で血中EPA濃度はEPA非摂取群で有意差では認められず、EPA摂取群では有意に上昇していることが認められた。2,ヘマトクリット(Ht)値 研究の前後でヘマトクリット値はEPA非摂取群、EPA摂取群ともに有意差は認められなかった。3.血管内皮機能 研究の前後で血管内皮機能はEPA非摂取群では有意に上昇していたが、EPA摂取群では有意差認められなかった。(考察)EPA摂取により血管内皮における基礎レベルの一酸化窒素(NO)産生が増加していたためFMDによる血管拡張反応が生じにくかった可能性も否定できないが、健常者(駅伝選手)においては、4週間のEPA摂取で血管内皮機能の向上の効果はないことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的:種々の脂肪酸摂取および直接投与が心血管機能に及ぼす効果を検討する。特に、n-3系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)、一価不飽和脂肪酸(パルミトオレイン酸;C16:1およびオレイン酸;C18:1)、などの摂取および直接投与が血管機能に及ぼす効果を血管内皮および血管平滑筋の両面から検討する。また、心筋の酸素消費と運動量の関係(酸素消費効率)についても検討する。これらは、2型糖尿病・肥満モデル動物を用いて、ex vivoおよびin vitroにおける実験系を利用して検討する。 上記の津署の予定に対して、心筋の酸素消費と運動量の関係(酸素消費効率)については、予定を変更し、一部in vivoの検討を行うこととし、平成27年度にこれを実施した。平成28年度は、ヒト大動脈血管内皮細胞株を使用して、各種脂肪酸の影響を検討する予定としており、総合的には、当該研究がおおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成28年度)は、主としてヒト大動脈血管内皮細胞株を用いて、各種脂肪酸の作用について検討する予定である。この血管内皮細胞株において、TNF-αが濃度依存的に細胞接着因子(VCAM-1およびICAM-1)のたんぱく質レベルでの産生を増加させること、また、TNF-α 5 ng/mLでは細胞傷害作用を認めないことを当研究室で確認済みである。今後、TNF-αによるVCAM-1およびICAM-1のたんぱく質産生刺激作用に対して、種々の脂肪酸(EPA,DHA,オレイン酸等)が及ぼす影響を検討する。また、n-3系脂肪酸が、TNF-αによる細胞接着因子の産生抑制作用を示す場合には、その機序について、細胞内シグナル伝達の観点から検討する。
|
Causes of Carryover |
平成27年度は前年度からの繰越金額が多かった。また前半は主として、in vivoにおける検討を実施したため研究費を使用するペースが遅かった。後半より、ヒト大動脈血管内皮細胞株を用いた検討を開始し、種々の試薬およびVCAM-1、ICAM-1等の測定キットを使用した。使用合計金額は、1,756,414円と、当初の予定額、1,200,000円より多く使用しており、研究計画が全体として順調に進んでいることを示している。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として、ヒト大動脈血管内皮細胞株を用いた検討を行うための、試薬(培養液、牛胎児血清、各種脂肪酸の純正品、ウエスタンブロット関連の抗体および消耗品等)、その他の消耗品(シャーレ、ピペット等)および測定キット(VCAM-1、ICAM-1等)。
|