2015 Fiscal Year Research-status Report
新規骨格を有するNF-kappa B阻害剤の探索と難治性がん治療への応用
Project/Area Number |
26350975
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
梅澤 一夫 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70114402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須貝 威 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60171120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NF-kappa B / DHMEQ / SEMBL / desmal / スクリーニング / 放線菌 / 分子デザイン / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいepoxide-free DHMEQ誘導体の合成と生物活性:NF-kappa B阻害剤DHMEQは多くの動物疾患モデルを抑制する。安定性や特異性を軽減させるepoxideのないDHMEQ誘導体SEMBL(exo-ene EQから改名)を既にデザイン・合成した。今までに培養細胞で炎症性サイトカインの発現抑制や浸潤抑制を明らかにしている。27年度、動物実験や機構研究のため再度、合成した。それを使ってHPLCの条件を決め、水溶液中での安定性を残存量で調べ、DHMEQより顕著に安定であることがわかった。これらの結果は投稿準備中である。 植物由来フラボノイドdesmalによるNF-kappa Bとがん細胞浸潤の抑制:既に約3000株の放線菌からマクロファージにおけるLPS誘導NO産生阻害剤のスクリーニングを行った。その結果、放線菌1株の培養液から既知物質のgenistein、genistein 7-O-alpha-L-rhamnoside、daidzein 7-O-alpha-L-rhamnosideが得られた。これらはフラボン化合物であることから、次に私たちがチロシンキナーゼ阻害剤として、以前にタイの植物Desmos chinensisの葉から単離した新規フラボンdesmalの活性を調べた。その結果、desmalはgenisteinと同等にLPSに誘導されるNO産生を阻害し、さらに上流シグナルのNF-kappa Bの活性化を阻害することがわかった。さらにヒト明細胞卵巣がんES-2細胞を用いて、遊走と浸潤の阻害活性を調べたところ、desmalはいずれにも毒性を示さない濃度で阻害活性を示した。機構解析の結果、desmalは浸潤に関与するurokinase-type plasminogen activator (uPA)の発現を低下させた。これらの結果は27年度論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトで26年度から研究しているepoxideのないDHMEQ誘導体は前年度までexo-ene EQと呼んでいたが、化合物名(S)-beta-salicyloylamino-alpha-exo-methylene -ganmma-butyrolactoneを省略してSEMBLと呼ぶようにした。この化合物はDHMEQと同等またはより高いNF-kappa B阻害活性を示し、難治性の卵巣がんのなかでも難治性の高い明細胞卵巣がん細胞の遊走・浸潤を阻害する。今年度はHPLCを用いて解析し、水溶液中でDHMEQより優れた安定性を示すことがわかった。一方で、本プロジェクトで行っている放線菌からの新しいNF-kappa B阻害剤スクリーニングにおいて放線菌培養液から既知フラボン類が活性物質として得られ、それをヒントに新規植物性フラボンのdesmalが候補に浮かび、そのNF-kappa B阻害活性と明細胞卵巣がん細胞の遊走・浸潤阻害活性を示すことができた(27年度論文発表済み)。年度毎に新しい骨格のNF-kappa B阻害剤を見出し、目的の生物活性を示すことを目標にしてきて、そのとおりに進展しているので「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
SEMBLに先行するDHMEQは海外で開発が進められており、SEMBLは第2世代DHMEQ開発候補物質と位置づけている。27年度、新たにSEMBLを化学合成した。今後、さらに大量のSEMBLを合成することにより、in vivoでの難治性がん・白血病モデルにおける抗がん活性を評価する予定である。細胞を用いた研究においてはDHMEQとSEMBLを用いてplasmacytoma細胞のNF-kappa Bと浸潤の抑制を調べ、抑制効果があれば機構を解析する。一方で、放線菌からの新しい骨格を持つNF-kappa B阻害剤のスクリーニングを続ける。現在、毒性のない用量でLPS誘導NO産生を阻害する放線菌培養液があり、単離・構造決定を進めている。 一方、なるべく多くのケミカルバイオロジーおよびがん関連の学会に発表し、論文も速やかに投稿・発表して成果を公開する。DHMEQに関して現在、国内外で多くの共同研究をしており、海外では共同開発もしている。本プロジェクトの新しい化合物の研究成果も国内外で広く発表し、共同研究へと発展させて研究のスケールアップを計る。社会への本プロジェクトの成果公開もなるべく機会をみつけて行う。27年度はDHMEQとSEMBLを主体にロシアにおいてBRICS Summit Satellite Symposiumを開催した。このことがもとになってDHMEQとSEMBLの研究成果は"Science 102"というロシア・Bashkortostan州のテレビ番組で紹介された。ほかにも「がんとの戦い」の座談会がやはりロシアのテレビで放送され、私たちはDHMEQとSEMBLを紹介した。このような社会への還元を28年度も積極的に行ってゆく。
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Remarks |
愛知医科大学HPで研究室紹介と最新の論文発表や学会発表を紹介している。梅澤ラボ・チャンネルでは梅澤研究室の研究方法や抗炎症・抗がん剤DHMEQの詳しい作用と機構を図解で説明している。そのほかFacebook Umelab Aichiで最近の学会活動を写真を多くして国内・海外向けに発信している。
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Research Products
(29 results)
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[Journal Article] A novel anti-inflammatory agent, DTCM-glutarimide, ameliorates murine models of inflammatory bowel disease.2016
Author(s)
N. Ichikawa, K. Yamashita, T. Funakoshi, S. Ichihara, M. Fukai, M. Ogura, N. Kobayashi, M. Zaitsu, T. Yoshida, S. Shibasaki, Y. Koshizuka, Y. Tsunetoshi, M. Sato, T. Einama, M. Ozaki, K. Umezawa, T. Suzuki and S. Todo
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Journal Title
Inflammation Research
Volume: 65
Pages: 245-260
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A nuclear factor-κB inhibitor, dehydroxymethylepoxyquinomicin, ameliorates GVHD in allogeneic bone marrow transplantation.2015
Author(s)
S. Yamanouchi, Y. Adachi, T. Shimo, K. Umezawa, M. Okigaki, S. Tsuji, M Li, J. Takaya, T. Kuge, S. Ikehara, K. Kaneko
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Journal Title
Immunobiology
Volume: 220
Pages: 1059-1066
DOI
Peer Reviewed
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