2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350985
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
神代 真里 玉川大学, 脳科学研究所, 科研費研究員 (40462791)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 模倣 / 共同注意 / 視線 / 指さし / サル / 皮質脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
自分が食べ物をつまむ時だけでなく、他者が食べ物をつまむのを観察する時にも活動する「ミラーニューロン」がサルの腹側運動前野で発見されて以来(Gallese, et al., 1996)、ミラーニューロンが行為の理解と模倣の神経基盤の有力候補であるとされている(Rizzolatti, et al., 1998; 2004)が、現在に至るまで、それが模倣の神経基盤であるという直接的な証拠は得られていない。本研究では、申請者が独自に開発した「共同注意」を経てサルの模倣を引き出す方法(Kumashiro, et al.,2003, 2008)でサルの模倣を実現して、共同注意とそれに引き続いて成立する模倣の神経基盤の解明を目指す。平成26年度、アイコンタクトと指さし、模倣行動を教育したサル一頭のそれらコミュニケーション行動が不十分であったため、サルの模倣の成立に有効な指さし行動を引き出す実験を集中して行った。方法は、サルに三種、または、二種の餌を提示し、サルが好きな餌方向に腕を伸ばすと、その餌を得ることが出来る、という三者択一課題と二者択一課題である。二者択一よりも三者択一の方が、意図的な指さしを引き出すのに有効であった。ヒトが餌位置を移動させるという行為あり条件と行為なし条件では、ヒトの餌移動行動がサルの餌の選択性に影響する可能性が示唆された。指さしによる餌の選択行動とヒトの動きが関係するのか、さらにその影響がコミュニケーション、具体的にはアイコンタクトの確立度合と相関があるのかどうかの実験を現在進めている。面白いことに、早期の模倣訓練中には出来なかった模倣が、この実験中に正確な模倣となって自発的に示されることがあった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年末まで無給のポジションであったため、実験時間の確保が困難であった。12月に本人が現研究室に移動し、今年3月に被験体を現研究所へ移動させた。そのため、実験が少し遅れることとなった。しかしながら、前研究室では実験室の不足により実験室での実験が出来なかったが、現研究室では実験室を使用することが出来るため、被験体が集中して実験に挑みやすい環境が確保できた。被験体は新しい飼育環境施設や新実験室にも慣れてきており、今後は順調に進むことが予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、アイコンタクト・指さし行動確立の指標と判断基準を確立する。次に、サルーヒト間のアイコンタクト時の視線行動解析からもアイコンタクト成立を証明する。指さし行動パターンと模倣を解析し、新実験室でアイコンタクト・指さし・模倣行動イベント抽出と脳波記録の実験セッティングを行う。平成28年度は、模倣と視線・指さしの脳内機構解明を目指す。
|
Causes of Carryover |
前研究室において実験室が不足していたことと無給であったため実験時間の制限があり、実験が上手く進まなかったこと。現研究室への移動があったため、実験の一時的な中断が生じたこと。以上の理由から次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
皮質脳波記録用電極、および、それに必要な物品の購入と解析用PCの購入を予定している。
|