2016 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms for formation of impulsivity and self-control in intertemporal choice behavior
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26350986
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80431766)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 異時的意思決定 / 衝動性 / 自己制御 / 実行制御 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度から着手した機能的MRI実験を継続し,データ収集を完了させた.この実験の行動課題では,定量的情報がない環境下で数十秒遅延する一次報酬を強制選択法により直接経験し,その後の異時的意思決定で自由選択をする.機能画像解析の結果,のちの自由選択で選択された報酬の遅延時間において,期待効用を反映する脳活動の動的な時間変化が前部前頭前野で観察された.一方で,腹側線条体では,逆の時間特性を持つ活動変化が観察された.この結果は,脳領域や時間特性が,過去の研究(Jimura et al. J Neurosci 2013)と一貫しているだけでなく,前部前頭前野と腹側線条体の活動が,遅延報酬の経験に依存して,その後の選択傾向と関連していることを示唆している. 期間全体では,この他に,遅延する一次報酬を消費するときの脳活動と,遅延報酬に対する衝動性の関係を調べた.前部前頭前野と腹側線条体では,報酬消費時の活動は衝動性が高い被験者ほど活動が大きかった.報酬消費時における前部前頭前野,腹側線条体前部,腹側線条体後部の機能的結合を調べたところ,衝動性に依存した結合構造がわかった.すなわち,衝動性が高い被験者では,前部前頭前野および腹側線条体後部から,腹側線条体前部への機能的結合が強まっていた.これらの一連の結果は,報酬の消費における衝動性の前頭前野-腹側線条体機構を示唆している. さらに,遅延する金銭報酬に対する衝動性と認知の実行制御の関係を調べた.作業記憶に関わる前部前頭前野領域では,異時的意思決定の難しさと関連していた.さらに,腹外側前頭前野では,異時的意思決定の難しさにより調節される脳活動が,遅延報酬に対する衝動性と関係していた.この論文は現在印刷中である(Jimura et al. Cereb Cortex in press).
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