2014 Fiscal Year Research-status Report
中国社会の秩序生成原理の探求~場に立ち現れる「理」~
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26360005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安冨 歩 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20239768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 葉子 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20193815)
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70212016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 香港 / 雨傘革命 / バリケード / 秩序形成 / ワラワラ現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究推進過程で香港の「雨傘革命」が発生し、路上の人々の必死のコミュニケーションが、YouTube や Facebook などで盛んにアップされるようになった。その様相が、我々が本研究で探求しようとしていたテーマと密接に関係することが判明し、本年度はこの分析に焦点を集めた。その成果をもとに、10月28日(火)に「香港の学生運動をめぐるコミュニケーションについて」と題した緊急研究会を大阪府箕面市の大阪大学箕面キャンパ スで開催し、インターネット放送機関のIWJを通じて配信した。更に、12月に現地入りし、調査を行った。この過程で、現代中国分析の権威である遠藤誉教授との共同研究が成立し、調査結果を踏まえた報告書を緊急出版することとなり、2015年3月に、遠藤誉著・深尾葉子・安冨歩共著として『香港バリケード~若者はなぜ立ち上がったのか』(明石出版)を、伯川星矢・刈部謙一の報告を加えて出版した。また、『すばる』誌上に、深尾と安冨とが論考を公表した。このなかで、外部からの秩序化圧力が加わらない状況下での中国社会の秩序形成ダイナミクスが浮き彫りとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始後に発生した事件について分析に着手し、年度内に出版に成功したことは、予想を超えた成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の香港雨傘革命の分析結果を、これまでに蓄積した成果と統合し、実証分析を積み重ね、より高次の理論的枠組を提示することを目指す。特に、代表者が第二次天安門事件の前に、天安門広場や、天津・瀋陽・長春・ハルビンなどで経験した出来事と組み合わせることで、より立体的な分析が可能になると期待している。また、今年度は、文学作品・映画などの分析を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間の後半に、急遽、研究成果をまとめて出版することとなり、執筆に集中するため、支出計画が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査に必要な資料書籍の購入を早急に行うことで消化する予定である。
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Research Products
(3 results)