2016 Fiscal Year Research-status Report
中国社会の秩序生成原理の探求~場に立ち現れる「理」~
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26360005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安冨 歩 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20239768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 葉子 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (20193815)
高見澤 磨 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70212016)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 客家 / イタリア / 移民 / 郷村 / 廟会 / おしゃべり / ワラワラ現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、フィールドワークによって深く中国郷村社会に入り込んできた研究者の経験を、我々の提供する視点から読み直す作業を行ってきた。それはたとえば、村の廟会に行こうとしていて、連れていってくれるはずの人が来なくて、そうすると・・・、というような一見したところ瑣末な内容である。それはフィールドワークを行なった「研究目的」からすると価値を見出し得ないものであるが、しかし興味深く印象的であった逸話である。 中国広東省での調査では、都市の再開発の波に押されつつも、依然として残された街角のそこここに人々の「おしゃべり」の場が生き残っており、また、客家語が主要言語となっている梅州市では、路上や職場のエレベータなど偶発的な出会いの場によるおしゃべりのコミュニケーションが健在であること、などが観察された。さらに海外でも、改革開放後温州人のネットワークが主たる移民を構成しているイタリア都市部では、中国人間のコミュニケーションが主たる移民の出身地である温州方言で行われており、本国と同じ社会を再構成している場面を各地で確認した。中国人同士が何気ない日常のコミュニケーションを繰り広げるそのやりとりの中に、中国人社会の集団形成と拡大のダイナミクスが隠されており、それは、空間的には、街角や、庭先や、大きな木の下や、誰かの店先などで繰り広げられている。また、SNSの普及により、現在ではその空間的制約を超えて、本国と移民社会、移民社会内部において距離をほとんど感じさせないコミュニケーションが日々交わされている。 このような断片的にも思える経験を、フィールドワーク経験者が集まって語り合い、我々の提言する「ワラワラ現象」という観点から光をあてることで急に学術的意義がたちあらわれてくる。このような新たな発見に基づいて、前二年度の成果をとりまとめつつ、最終的な報告書の作成に取り掛かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若い研究者との出会いにより、新たな展開が生じており、その取りまとめの必要のために、期間延長を申請し承認された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を今年度に報告書としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
若い研究者との出会いによって研究に予想外の展開があり、その成果を取り纏めるのに時間を要したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度中に、研究成果の報告書を用意する予定である。資金はその打ち合わせと資料購入のために使用する。
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Research Products
(2 results)