2015 Fiscal Year Research-status Report
中国多民族集住地域における社会主義的近代の経験と民族の共同性に関する社会学的研究
Project/Area Number |
26360008
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂部 晶子 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (60433372)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | フルンボイル / エヴェンキ族自治旗 / ハイラル / 民族集住 / ライフヒストリー / 生活変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国内モンゴル自治区フルンボイルの多民族集住地域において、社会主義中国の「制度化された多民族性」の時代を生きてきた少数民族自身の生活世界を再構成することで、彼らの対立や葛藤をも含めた民族的な共同性を描き出すことにある。この目的にそって今年度行った具体的調査・研究の概要は以下のとおりである。 本年度は上記目的にあわせて、中国内モンゴル自治区において、二度の現地調査を行った。一回目は、2015年8月に、内モンゴル自治区フルンボイル地域において行われたフィールドワークである。ここでは昨年度の調査・研究を踏まえて、引き続き、エヴェンキ族やモンゴル族の人々への聞きとり調査を行っている。とくに年配の方々への聞きとり、さらに南屯で活動する民間楽団への継続調査も行った。 二回目は、2016年2月に、内モンゴル自治区の中心地である呼和浩特市で行った当該地における情報収集およびフィールドワークである。呼和浩特は、内モンゴル自治区の政府、学問の中心都市であり、ここでは、内モンゴル師範大学仏学文化研究院執行院長であるモンゴル仏教の研究者、巴・孟和教授、先端的な少数民族研究の研究者であり内モンゴル師範大学社会学民俗学院の何群教授、さらに内モンゴル工業大学の人類学者などとの意見交換を行い、現代の最先端の研究情報を確認した。さらに、改革開放期以降、移動が激しくなっている内モンゴル自治区内での、かつての牧民たちの生活史の聞きとりを、主として50~70代の方々にたいして行った。これらの調査・研究の成果は、下記の研究報告に一部反映されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画はおおむね順調に進展している。 本研究課題の想定する三段階の作業手順は、(1)各民族の通時的資料の収集と分析、(2)それぞれの地域での生業の変化と、都市部‐農村部での生活状況の相違にかんするフィールドワーク、(3)各年齢層の人びとへのライフヒストリー調査である。これらそれぞれぞれについて、すでに着手、進展している。本年度はことに、いくつかの民族の、多様な年齢層の人びとへのライフヒストリー調査を重点的に行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度は本研究課題の最終年度にあたる。そのため「現在までの進捗状況」にある三段階の作業のうち、とくに(2)のそれぞれの地域での生業の変化と、都市部‐農村部での生活状況の相違にかんするフィールドワーク、(3)の各年齢層の人びとへのライフヒストリー調査について、重点的に推し進める予定である。とくに(2)については、内モンゴル自治区フルンボイル地域内の生業の異なる各地域へのフィールドワークを予定している。
|