2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study of the Transmigration, Mobility and Community Formation of the Chinese in the Caribbean
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26360018
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
園田 節子 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (60367133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 華僑 / カリブ海地域 / 僑務 / 再移民 / 冷戦 / ひとの国際移動 / 華人 / 陳友仁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人の国際移動や移民研究で遅れている再移民の研究に焦点を当て、カリブ海地域の華僑華人の事例を通して、再移民を促す要因、生活戦略、そしてその移動圏について論じ、移動者の論理を歴史的に検討することである。最終年度の計画は、現地研究者の助言をもとにトリニダードとガイアナで史料収集し、成果を国内外の関係学会で発表し、英語圏の学術雑誌に掲載の目途を立てることであった。 当該年度、イギリスで1年間在外研究する機会を得、在英の利点を活かした。まず実施計画通り5月にバンクーバーでガイアナ華僑研究者に面会し、現地最新情報と助言を得て、資料が散逸し華僑人口が激減したガイアナでは調査効率が悪いと解った。よってオックスフォード大学の英国議会文書コレクションを使用し、かつロンドンに日帰りや数日の調査を複数回行い、国立公文書館と大英図書館の英中両言語史料から、トリニダードとガイアナのものを集めた。 前年度までに研究した陳家賢ら中国国民党僑務委員会が展開した言論・政治活動に対して、抗日戦争期から冷戦期の英領西インド諸島主要3か国ガイアナ、ジャマイカ、トリニダードの華僑社会における、陳友仁ら広東系華僑2世の国際移動や越境政治を明らかにした。また1950年代のイギリス植民地政庁と総督が同3か国の華僑政策を明らかにした。 成果は、英国中国学会の年次大会と、シェフィールド大学とオックスフォード大学のセミナーで英語発表し、助言や批判を原稿に反映した。活字化では、旧英領植民地構造内の華僑華人の位置を論じた英語論文を1篇出版し、2017年内に日本語華僑華人辞典に南北アメリカ華僑華人の項目を2編出版する。昨年度入稿したカリブ海地域華僑の再移民の議論を含む論文は、本年度も編集側の事情で出版が延期した。また太平洋を越える商業ネットワークと越境政治を論じた英語論考を1編共著本に寄稿し、現在出版社の結果を待っている。
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Research Products
(8 results)