2015 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける戦間期の秩序とソ連の極東政策:外交官と軍部、中央と地方
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26360020
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
シュラトフ ヤロスラブ 広島市立大学, 国際学部, 講師 (30726807)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日露・日ソ関係 / 外交史 / 軍事史 / アジア研究 / 一次史料調査 / 国際学会 / 出版物 / 協力体制の強化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度、研究実施計画に基づき、史料調査を継続しながら、国内外の国際学会に積極的に参加し、あらゆる形で研究成果の発表に努めた。2015年7月、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターが主催した夏季国際シンポジウムで“Japan’s Place in Soviet Far Eastern Policy during the 1920s”という報告を行った。翌8月、幕張で開催された世界最大級の中央・東ヨーロッパ研究学会(ICCEES)に参加し、国内外の研究者と一緒に企画したパネルやラウンドテーブルで、“Russia's Great War on the Pacific”と“Soviet Strategy toward Japan during the Interwar Period: Withstand, Catch Up, and Overtake”という発表を行った。 その後、9月にモスクワとサンクトペテルブルグ、主にロシア国立軍事資料館(RGVA)とロシア国立海軍資料館(RGA VMF)で史料調査を実施し、重要な史料をコピーした。また、2016年3月、追加調査を行い、今度はロシア国立社会政治資料館(RGASPI)で作業を行った。それ以外に、東京の外交史料館でも調査した。 本年度は、国内外に刊行された複数の著書に参加し、研究成果を発表することができた。日本では『日露関係史:パラレル・ヒストリーの挑戦』(東京大学出版会)、ロシアでは幾つかの教科書に投稿し、研究成果は日本と国際舞台に普及すると見込まれる。 学会開催地及び史料調査実施地において、日本や欧米、ロシア各地の大学や研究所の教員やあらゆる分野の専門家と積極的に交流し、今後の協力体制の強化に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以上のように、代表は研究実施計画に基づいて史料調査を行い、ソ連の東アジア・極東政策に関わった各アクターの立場を解明している。前年度は、特に外務人員委員部及びアジア各地に駐留した外交官(全権代表(=polpred)、領事など)に焦点を当て、極東地域における赤軍幹部の姿勢も視野に入れたが、本年度は、引き続き赤軍の重要な人物を追求しながら、政治局間連史料に踏み切り、新たな史料層を発掘した。それにより、ソ連の極東政策、東アジアにおける方針に関する中央機関と地方機関の共通点と相違点が徐々に見え始め、新たな調査の方向性が示唆された。 なお、前年度に続いて、国内外において積極的に学会発表を行いながら、著書の執筆にも力を入れ、研究成果を国際舞台にも通用するために尽力した。また、日露両国のみならず、欧米の研究者と一緒に構築した協力体制を強化するよう努め、国際的な研究として進行すると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、研究計画に基づき、国際的文脈からソ連極東政策を分析するために、日本の外交史料館と防衛研究所、モスクワの史料館で調査を継続し、特にロシア国立社会政治資料館(RGASPI)で政治局及びスターリンの東アジア政策概念、ロシア国立軍事史料館で赤軍の情報部及び極東に於ける軍需産業の建設に焦点を当てる予定である。そして、極力アメリカ側(国立公文書記録管理局(NARA)やコロンビア大学コレクション(Bakhmeteff Archive)または前年度に調査が不可能だったロシア極東の資料館で調査を実施する企画である。最大の関心は、1920年代から1930年代初期にかけての時期であり、とりわけ、中国革命運動や中ソ紛争、満州事変などを通じて、激変する東アジア国際情勢の枠組でソ連極東政策の経過と変化を考察することである。 また、岩波論集『ロシア革命とソ連の世紀』その他の共同プロジェクトに参加し、原稿を執筆しながら、国際学会において、本研究の中間報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2015年度後半、モスクワの資料館(RGVA)から幾つかのコピーを注文したが、残高の2,551円では足りなかったため、次年度に手続きを行うことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に購入したコピーの代金にあてる予定である。
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