2014 Fiscal Year Research-status Report
東・東南アジア地域におけるツバメの巣取引の多現場民族誌的研究
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26360028
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
市川 哲 立教大学, 観光学部, 助教 (40435540)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ツバメの巣 / 東南アジア / 華人 / 先住民 / トランスナショナリズム / 商品網 / 生態学的知識 / 民族関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の活動は本科研研究プロジェクトの予備調査としての性格が強かった。そのため日本国内での文献研究と東南アジアでの現地調査を行った。国内での文献研究は、関連する文献資料の収集及び先行研究の整理と批判的検討を行った。特に本科研プロジェクトがテーマとする東・東南アジア各地におけるツバメの巣取引に関しては、歴史学や地域研究、文化人類学等の諸研究で従来から言及されることが多く、またこのテーマが取り扱われる時代や地域も広範囲にわたっている。そのため本年度は東・東南アジア地域におけるツバメの巣取引を、他の海産物や森林産物の取引に関する諸研究を参照することにより、その特徴を明らかにする作業を行った。このような国内での文献資料研究に加え、シンガポール、マレーシア、タイでのフィールドワークも実施した。シンガポールは東南アジア地域におけるツバメの巣に代表される森林産物やその他の海産物や漢方薬の原料等の集積地であるため、それらを専門に扱う店舗が集中しているサウス・ブリッジ・ロード周辺での調査を行った。またマレーシアとタイでは燕屋と呼ばれる人工的な建築物にアナツバメを呼び寄せ人為的に営巣させるというメソッドや、天然の洞窟でアナツバメの巣を採集する方法の現状に関する調査を行った。また当初予定していた国外でのフィールドワークに加え、日本国内(神戸市、大阪市、横浜市)でのツバメの巣の販売・消費に関わる予備的なフィールドワークも実行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度の活動は当科研研究プロジェクトの予備調査としての性格が強いため、東南アジアの三カ国での予備的・広域的なフィールドワークを行い、二年目以降の本調査を行うための準備段階に充てた。そのため日本国内での関連文献・先行研究の収集を行った。これらの活動はおおむね計画していた調査成果を上げることが出来た。ただし今年度の予算配分が当初計画していた研究費の額よりも少なかったため、本研究立案時に行うことを想定していたツバメの巣の代表的な集積地である香港での現地調査を行うことはできなかった。そのため多現場民族誌的調査としての地理的な範囲は当初の予定よりも縮小させた。ただ本年度は日本国内でInternational Union of Anthropological and Ethnological Studiesの大会が開催されたため、二年目以降に行うことを予定していた英語を用いた国際学会での研究成果発表をすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度も引き続き、日本国内での関連文献資料・関連先行研究の収集と整理、および東南アジア、香港およびオセアニアのチャイナタウンでの多現場民族誌的現地調査を行うことを計画している。現地調査に関しては2014年度から行ってきたシンガポール、マレーシア、タイでの多現場民族誌的調査に加え、日程的な余裕があれば香港およびベトナムでの短期調査を行う計画を立てている。また同時に日程的・資金的な余裕があればオセアニアのチャイナタウン(現時点ではオーストラリア、シドニーを予定)でのツバメの巣の販売と流通、消費に関する短期調査を行うことを計画している。またその成果を中間報告のかたちで文章化し、学術論文か研究ノートとしてしかるべき媒体に発表することを考えている。加えて2015年度はツバメの巣の取引により特化した先行研究の整理を行う計画を立てている。
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