2014 Fiscal Year Research-status Report
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26360048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島岡 まな 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20222036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジェンダー / フランス / 刑法 / 性犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まず、(1)フランスの性犯罪、DV罪等について書かれた日仏関連図書及び資料の収集を行い、分析を行った。その結果、日本の人口の約半分の6千万人が国家人口であるフランスにおいて、性犯罪の有罪件数は2010年に6892件もあることがわかった。同年の日本における強姦罪、強制わいせつ罪の有罪件数は1975件であり、人口比にして7倍以上の差がある。これは、フランスの方が日本より性犯罪が7倍多く発生しているのではなく、性犯罪に対する社会の目も厳しく被害者への支援も手厚いために、起訴され有罪とされるケースが多い(暗数が日本より少ない)ことを示している。このような差がどこからくるかという問題関心から、フランス刑法の性犯罪規定を精査したところ、日本と比べて以下の特徴があることがわかった。たとえば、1)保護法益は、生命に次いで重要な「人の身体的・精神的完全性」とし、2)暴行・脅迫等の手段は、心理的強制を含むなど非常に緩やかに解釈されている。3)犯罪の客体に男女の区別はなく、4)処罰される行為も、日本に比べて非常に広い。5)性交同意年齢は、15歳である。6)尊属又は養親その他被害者に対して権限を有する者による実行、職務上付託された権限を有する者による実行など、類型的加重事由を多く設けている、等である。 (2)2014年8月にはフランスへ海外出張を行ったが、バカンス中でもあり資料収集が中心となった。しかし、日本ではあまり見られない刑法におけるジェンダーに関するフランス語書籍を複数入手することができた。(3)トルコにおいても日本のDV罪について英語で報告を行った。(4)法務省で発足した「性犯罪の罰則のあり方に関する検討会」のヒアリングに参考人として呼ばれ、フランスのジェンダー平等的性犯罪規定について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り、平成26年度の当初計画に沿って、基礎的な文献の分析・検討や海外出張による資料収集を順調に行っている。 さらに、当初の計画にはなかったトルコにおける英語報告や法務省で発足した「性犯罪の罰則のあり方に関する検討会」のヒアリングにおいてフランスのジェンダー平等的性犯罪規定について報告するなど、研究成果の一部を報告する機会にも恵まれ、研究を深める契機ともなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究計画に沿って、引き続き研究を推進してゆく予定である。すなわち、平成26年度の調査結果を分析すると同時に、平成26年度に収集できなかった最新の資料(関連書籍、司法統計、立法資料等)(日本語及びフランス語)を収集する。 (2)平成27年8月~9月にフランスへの海外出張を行い、現地での研究調査を引き続き行い、平成26年度の調査結果の検討により、不十分であった点を中心に調査を補完する。未定ではあるが、ポワティエ大学等で、ジェンダー平等刑法に関するシンポジウムも行えないか、計画中である。
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Causes of Carryover |
本研究費での国内出張または短期の海外出張を予定していたが、本務を含む他の用務で多忙により、平成26年度は実行できなかった。 そのため、平成27年度に繰り越して使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の予定額である90万円に残額104700円を足した1004700円が使用可能となるため、平成27年度中にフランスのポワティエ大学でジェンダー平等刑法に関する共同研究会を開きたいと計画中である。その際の滞在費で使用するとともに、資料収集も積極的に行い、使用したいと考えている。
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Research Products
(7 results)