2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on the Concept of Law in Thomas Aquinas, Averroes and Maimonides
Project/Area Number |
26370008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 芳久 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50375599)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トマス・アクィナス / マイモニデス / アヴェロエス / イブン・ルシュド / 自然法 / 法哲学 / 三大一神教 / 比較宗教哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年に発表した「マイモニデス『迷える者の導き』における「啓示的法」と「理性」」(竹下賢他編『法の理論34』所収、2016年2月、91-118頁)は、研究代表者がユダヤ教の法思想について発表した最初の論文である。この論文において浮き彫りになったユダヤ法思想の基本構造を軸にしながら、イスラーム世界を代表する哲学者であるアヴェロエスの法論と、キリスト教世界を代表する哲学者であるトマス・アクィナスの法論とを綿密に比較しつつ、「三大一神教における法概念の比較哲学的考察:トマス、アヴェロエス、マイモニデス」という本研究課題の総括となる考察を行った。そのさい、アヴェロエスの法論については、既に発表している「アヴェロエス『決定的論考』における『法』と『哲学』の調和」(東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻編『国際社会科学』第60輯、2011年3月、21-38頁)を手がかりに考察を進めた。また、トマス・アクィナスの法思想については、拙著『トマス・アクィナスにおける人格の存在論』(知泉書館、2013年)に収められている「トマス自然法論の基本構造:自然法の第一原理」(223-241頁)と「自然法と万民法:トマスからスアレスへ」(243-261頁)を手がかりに探求を進めた。 キリスト教の法思想とイスラム教の法思想との比較を軸に勧めてきた比較思想的考察に、ユダヤ教の法思想というもう一つの軸を加えることによって、哲学的考察に大きな広がりを加えることができた。
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