2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370010
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水本 正晴 北陸先端科学技術大学院大学, 先端領域基礎教育院, 准教授 (70451458)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 認識論 / 言語の哲学 / 実験哲学 / 意味の理論 / 指示の理論 / 文化心理学 / 語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず意味論と語用論の関係に関する理論的考察としてwhat is said の意味内容を知識の内容として「知識条件」を真理条件の代わりに与える、というこれまでの考えをトラヴィスの文脈主義とゲティアー例の考察と結びつけ、そこから文脈主義と真理のデフレ主義とは整合的ではない、という結論を導き出した(科学基礎論学会で発表)。これは意味論と語用論だけでなく、意味と真理との関係を考える上でも重要な成果である。現在、これの延長として語用論が関わる発話に対する日常言語の真理述語(日本語では「本当だ」も含む)の使用の言語的差異についての調査を行っている。 次に、実験哲学的手法で、後知恵バイアスの文化的差異によって知識帰属の差異が生じるのかを日本人とアメリカ人で比較し、日本人とアメリカ人の比較だけでなく、「知っている」と「分かっている」の差異についても興味深い結果を得た(中国で開催された認識論と認知科学の国際会議で発表)。これは来年度開催する国際会議でもコアとなる成果である。さらに、今度は指示の理論について、文化的に異なる地域の言語使用に従う用意があるか、という問題について、アメリカ人と日本人を対象に比較調査を行い、仮説と整合的な結果を得た(アメリカのバッファローで開催された実験哲学会議において発表)。 また、実験哲学を外在的視点から批判的に考察する特集を学会誌にて企画し、ゲスト・エディターを務めた。 別のタイプの成果として、実験哲学の方法論にする考察から、アンケート調査の参加者が楽しみながらより誠実に回答するようになる工夫を考案し、特許を申請した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的考察において意味についての考えに独自の見解を打ち出すことができ、そこから日常言語の真理述語の経験的調査へと繋がることになったこと。また、これまで行ってなかった文化心理学的な差異についての調査を認識論の研究と繋げ、成果を得たこと、など。特許を申請したことも大きい。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度に予定していた国際会議は参加者の都合などにより28年度に行うことになった。27年度は国際会議の準備に加え、本年度の意味の理論についての具体的成果について出版することを目指したい。また、本年度発表した実験哲学の成果についても論文としてまとめ雑誌に投稿したい。特に、文化心理学的な調査に関しては、28年度の国際会議のためにも補足の調査を行いさらに結果を信頼できるものとしたい。
|
Causes of Carryover |
ノートパソコンを購入せずその分を書籍購入に充てたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表などの旅費に充てる予定。
|