2017 Fiscal Year Annual Research Report
Jacques Derrida and the Questions of psychoanalysis
Project/Area Number |
26370034
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
守中 高明 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80339655)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赦し / 宗教哲学 / 責任 / 他力 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.研究目的:本研究課題の最大の目的であったジャック・デリダが精神分析学とのあいだに切り結んでいる関係についての著書の執筆は、すでに完了し、単著『ジャック・デリダと精神分析――耳・秘密・灰そして主権』(岩波書店、全258頁、2016年11月)として刊行することができた。今年度は、その成果を踏まえて、つぎの課題である「ジャック・デリダにおける宗教哲学の諸問題」への研究の発展的展開をもっぱら目指した。 2.研究方法:(1)「赦し」の倫理学‐宗教学。デリダの晩年における最重要の問題系の一つである「赦し」を、一方でユダヤ‐キリスト教の伝統と比較し、他方で日本の鎌倉仏教(とりわけ法然・親鸞の浄土教)と比較することで、その概念の独自性を明確化した。(2)「他力」概念の実存論的分析。他者の絶対的他性とその呼びかけに論理的先行性を与え、それへの応答可能性を中心に錬成されたデリダにおける「責任」概念を、鎌倉仏教における「他力」の思考と比較することで、後者に新たな現代的解釈をもたらした。 3.研究成果:報告者は、新たな科研費研究課題「ジャック・デリダにおける宗教哲学の諸問題」(平成30〔2018〕年度‐平成33〔2021〕年度、課題番号:18K00050)を採択されており、その成果を単著『デリダから親鸞へ』(仮題、河出書房新社において企画決定・刊行予定)にまとめることを申請書に明記している。上記の(1)(2)は、すでに同著書の第1部・第2部を構成する原稿として出版社に提出済みであるが、同著書は完全な書きおろしとして刊行する契約であるため、原稿は未公開である。
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Remarks |
著書『デリダから親鸞へ』(仮題、河出書房新社より刊行予定)のための原稿:第1章「「他力」という力」(約40,000字)・第2章「「赦し」とはなにか」(約40,000字)。書きおろし単行本として出版契約を結んでいるため、原稿は未公開。
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Research Products
(1 results)