2016 Fiscal Year Annual Research Report
An epistemological study of the theoretical and pragmatic impacts of "open knowledge"
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26370041
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Research Institution | National Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education |
Principal Investigator |
土屋 俊 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 教授 (50155404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オープンアクセス / オープンソース / オープンデータ / オープンサイエンス / 知識の社会性 / 知識の秘教性 / 電子ジャーナル / 機関リポジトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
知識に関する哲学的議論は、近代においてもっぱら知識が個人に帰属するものとして、その確実性の根拠を求めるものとして認識論の名において展開されてきたが、科学活動の実態に関する観察は、知識をより社会的な存在としてとらえることを求めるようになり、社会的認識論(social epistemology)、あるいは科学社会学的な研究が生まれた。しかし、それらの対象はもっぱら科学のように制度化された知識の生産流通に限定されていたが、インターネットの普及によって知識が普遍的にアクセスできる状況を生み出され、ソフトウェアのオープンソース化、MOOCs、学術論文のオープンアクセス化をもたらしたと考えられた。本研究においては、インターネットとWWWの普及という技術的、社会的な事実が、知識とは何かを考えるための概念的道具立てを変容させたかを確認した。 この結果、これまで知識が、それが「高度」「専門的」になるほどに、その知識の持ち主の集団に閉じて保持されるという傾向を持ち、しばしば秘教的(esoteric)なものであるとして特徴づけられることが多かったが、オープン化された知識は秘教性を失っている。また、インターネット上に展開する知識は、真である命題を含むページが「リンク」によって結びつけられ、とく概念的な包含関係、要素集合関係のように階層性をもたない。これらのことを確認した。 さらに、知識のオープン化が知識の生産と伝達の体制にどのような影響を与え得るかを評価した。とくに、知識に関する考え方の変化つまりオープン化が、学術研究における成果発表、その評価のあり方および高等教育における学生消費者主義と大学向上モデルの隘路(高等教育の質劣化と学費の高騰)に対してもつ解決、改善の方向を示した。
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Research Products
(3 results)