2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 智靖 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任研究員 (60626878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヴェーダ / 犠牲獣祭 / 死生観 / インド / 潔斎 / ディークシャー / ソーマ祭 / アグニシュトーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
〔平成28年度の実施内容〕 ブラーフマナ文献にみるソーマ祭の再構築を引き続き行った.本年度は特に犠牲獣祭の実像と神話的解釈についての分析に力を入れることになった.定期的に参加した京大人文研共同研究班「ブラフマニズムとヒンドゥイズム」においては,大規模ソーマ祭の一種であるアグニチャヤナで実施される動物犠牲祭のテキスト講読を通して,ディークシャー(潔斎儀礼)との関連やブラーフマナ的観念の背景の理解を更に深める機会を得た.従って,研究期間を来年度まで延長したことに伴い,犠牲獣祭におけるマントラと儀礼行為,神話的思考の総合分析を完成させる.この成果は,平凡社より刊行予定の『インド文化史事典』項目「ヴェーダの供物」執筆及び平成29年度の印度学仏教学会学術大会における発表と同会誌への論文掲載によって公表する予定である.またメインテーマであるディークシャーの敷衍的成果として,同共同研究班主催の第2回シンポジウム:「古代インドにおけるアセティシズムの諸相」(京都,3/25・26)において「初期シヴァ教のディークシャーとヴェーダ」と題し発表及び討論を行った. またもう一方の主題である,現代都市文化における婆羅門の実態に関する現地調査(マハーラーシュトラ州・プネー)についてであるが,今年度は2月末から3月にかけて調査渡航を実施し,現時点での情報収集を試みた.残念ながら今年度中にソーマ祭が行われることはなかったが,研究期間延長のお蔭で来年度に期待をかけることとなった.また,僅かではあるが今後の大規模祭式開催の可能性や他地域の婆羅門の動向についての情報を得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査対象であるマハーラーシュトラ州・プネーの婆羅門家クルカルニ師が実施する予定であったヴェーダ大規模祭式,ヴァージャペーヤの執行が依然として延期状態であるため,現代のソーマ祭を取材するという当初の目的がまだ達成されていない.従って昨年度に引き続き「遅れている」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の延長承認を得たため,文献研究の面では引き続き進めていくが,一方の現地調査については相手方との連絡を密にして今後一年間の情報収集に努める.ソーマ祭の開催には半年もの期間を要するため,上半期の状況次第でヴァリエーション的祭式の調査に代える,あるいは過去に執行したソーマ祭について詳細に取材するということも考慮する.
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Causes of Carryover |
平成28年度は,予定していたマハーラーシュトラ州・プネーにおける祭式調査が延期となった.これは調査・取材対象であるプネー在住の婆羅門僧クルカルニ師が祭式の無期延期を決めたことに伴っている.従ってプネーへの渡航費及び一週間~十日分の滞在費が次年度使用額として生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度中の,マハーラーシュトラ州・プネーへの渡航費及び滞在費として使用する予定である.
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