2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Study on the Relationship between religious Thought and the general Public in Modern Germany
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26370071
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
深井 智朗 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40306379)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテスタンティズム / 出版史 / 世俗化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成26年度、27年度の資料の分析から、この時代の宗教的思想家は、出版社や編集者のマーケティングのもと、自らの思想的テクストを修正したり、変更しなければならなくなっていたこと、著者と読者との関係が、とりわけ市場化した宗教の分野では逆転していることを、一次資料に基づいて、解明するための分析を主として行った。そして「市場化した宗教思想の世界では、著者ではなく、読者としての大衆が宗教思想や宗教的テクストに大きな影響を及ぼす」という命題にその結果をまとめた。 その命題は以下のような構造によって説明される。第一に、「読者としての大衆」の宗教意識≧宗教思想家(宗教団体)という変則的な構造、第二に「著者→宗教団体→読者」構造が、宗教の市場化によって「読者→編集者→著者」構造に変化するということである。これまで宗教思想の研究は、思想家個人の内的発展、社会的動向からの影響などを中心に営なまれてきたが、今後は出版社や編集者との関係のみならず、出版社が想定する知的読者とのコミュニケーションという要因も考慮して行われるべきことを提言した。 これらの構造を、個々の歴史的思想家の事例を取り上げ、論文にまとめた。また研究成果を系統的にまとめ、公開するための単著としてまとめるための準備を開始した。当初予定していたWebサイトを利用しての研究成果の公開は、所属機関を移動したために、実行に移すことができなかった。
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Research Products
(10 results)