2014 Fiscal Year Research-status Report
G・ボッテーロのマキアヴェッリ批判と16世紀南欧国家理性論の形成
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26370078
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石黒 盛久 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50311030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボッテーロ / 国家理性論 / イタリア / 政治思想 / ルネサンス / バロック / マキアヴェッリ |
Outline of Annual Research Achievements |
金沢大学より付与されたサバティカル研究休暇を活用し、イタリア・フィレンツェ大学に客員研究員として滞在、同大学文哲学部政治思想史担当教授Daniela Coli氏の指導・助言を受けつつ、本研究の中心課題であるG.Boteroの主著『国家理性論』の邦訳を完了。その一部分をこの3月、『金沢大学人間社会学域学校教育学類紀要』第7号並びに金沢大学外国語教育センター『言語文化論叢』19号に掲載した。 未発表の部分を含む、本『国家理性論』全体の翻訳の2016年年初刊行(風行社)に向け、現在校正作業が進行中である。加えてイタリア・フィレンツェ国立図書館所蔵の「国家理性論」を中心とする16―17世紀の政治思想関連の文献を調査し、現地書肆を介して必要と思われる資料の収集・購入を行った。その内容については現在整理中である。 更にマキアヴェッリ-ボッテーロ観の国家理性論の展開に関連して、関西大学法学研究所(大阪府吹田市山手町)第48回シンポジウム(2014.11.9)「マキアヴェッリの政治思想とルネサンス・フイレンツェ-鹿子生浩輝『征服と自由』(風行社、2013年)を読む」においてコメントと講演を行った上で、これを継承するかたちで上記フィレンツェ大学Daniela Coli教授の招聘シンポジウムを企画、現在早稲田大学政治経済学部、関西大学法学研究所等と実施の準備・調整中である(9月末実施予定)。 以上昨年一年間にわたる研究を通じ、来年以降の本研究の中心課題としてのボッテーロ政治思想に関する、モノグラフィー執筆の確固たる準備作業を行うと共に、彼を中心とする16世紀末西洋政治思想の解釈と評価について積極的寄与を達成したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画・第一年目の主要目標であったボッテーロ『国家理性論』の翻訳を予定通り完了させ、その刊行の来年初頭の実現に向け準備作業が進行している。彼の思想の理解と評価に関しても、イタリアにおける当該分野の専門研究者の助言等を踏まえ、従来の研究テーマであったマキアヴェッリのそれとの比較を通じて、研究実施者独自の視点・観点の成熟が着実に見られ、来年度以降の課題としてのボッテーロに関するモノグラフイー執筆に向けた、基本構想が固まりつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究資金申請時に提出した研究計画におおむね従い、『国家理性論』以外のボッテーロの著作について、必要な際には古典籍を含む関連図書の収集を行いつつ、その理解を図ると共に、比較の対象としての同時代のボッテーロ以外の政論家(アルベルガーティ、ボッカリーニ)等々の議論との対比に進む予定である。これらの著作家の研究は、本邦においては全く未開拓であるため、テクスト解釈上のポイントの把握等も含めやはりイタリアをはじめとする海外の専門研究者の助言を必要とする。資料収集上の利便とも併せて、本年度も学会参加を含め1-2回のイタリア研究訪問を行いたい。
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Causes of Carryover |
本務校(金沢大学)よりサバティカル研修休暇が付与されたため、予定していた国内における研究打ち合わせ等の旅費が不要になったこと、また海外調査に関連する費用も旅費として計上する費目がなくなったことが主要な原因である。また海外に滞在していたため、科研費による物品の購入・資料整理のための人件費等についても当初計画の予定通りの執行が困難になった。ただ当該年度の研究については、サバティカル研修休暇中、科研費を使用しなくても、研究計画にほぼ合致する研究を進行させることができたことを付記しておきたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度使用しなかった分の旅費は、来年度度の国内打ち合わせ旅費、海外調査旅費、また海外よりの研究協力者招聘旅費として使用する予定である。物件費についても昨年購入できなかった機器等の購入により消化したい。
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Research Products
(6 results)