2014 Fiscal Year Research-status Report
カトリック宗教改革期におけるローマの宗教曲の資料研究
Project/Area Number |
26370113
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Research Institution | Musashino Academia Musicae |
Principal Investigator |
長岡 英 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 講師 (00723793)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ルネサンス音楽 / ジョヴァンニ・アニムッチャ / ミサ曲 / カトリック宗教改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カトリック宗教改革(反宗教改革)期にローマ教皇庁ジューリア礼拝堂楽長を務めたジョヴァンニ・アニムッチャ(c.1520-71)の宗教曲研究を通じて、この時期のローマの典礼音楽の実像を示し、トリエント公会議の音楽への影響を解明することを研究の全体構想としている。アニムッチャの作品群の中で最重要と考えられるミサ曲集を取り上げ、1563年に終了したトリエント公会議の規範に沿って作られ、当時、教皇庁で実際に歌われていたと考えられるミサ曲の実像とその受容状況を明らかにすることと、それを広く周知させるために現代譜として出版することを目的とするものである。 平成26年度は、夏にアメリカに行き、この分野の研究者たち、University of California, Davis の Jessie Ann Owens 教授と、Brandeis University の Eric Chafe 教授と意見交換を行った。カトリック宗教改革期の最重要作曲家の1人であるアニムッチャのミサ曲の全貌を明らかにすることが急務であり、そのためにはこの時代の印刷譜を現代譜化してなるべく早く出版することが第一であると意見が一致した。出版のためのプロポーザルを送るべき出版社(ニューヨークの学術的な楽譜の出版社 A. R. Edition)、プロポーザルの内容やモデルについて、重要で有意義なアドヴァイスを得ることができた。 11月には日本音楽学会全国大会に参加し、国内の研究者たちとも意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に実施する予定であったローマの資料研究は、図書館の開館期間と研究者の講義日程の都合が折り合わず実施できなかったが、アメリカの学者たちと意見交換を行い、研究のための現実的で具体的な目標(現代譜出版をめざすこと、現存する資料のうち出版に必要な精査を要する資料の具体的な数量検討、出版プロポーザルの内容など)を設定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ジョヴァンニ・アニムッチャのミサ曲集の現代譜を出版するために、本研究の主眼であるヨーロッパでの資料研究を実施する。27年夏には、イギリスの大英博物館とロンドン大学セナート・ハウス図書館、およびイタリアのフィレンツェ中央図書館とボローニャの国際音楽図書館で、現存するアニムッチャのミサ曲集の調査を行う。28年春には、重要な資料が多数残されているローマで、ヴァティカン図書館などの資料を調査する これらの資料調査と平行して、現代譜出版のため、A. R. Edition にプロポーザルを送る準備をする。
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Causes of Carryover |
26年度は、図書館の開館期間と研究者の講義日程の都合が折り合わず、予定していたヨーロッパでの資料研究を実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は夏にイギリスとイタリアの図書館で資料研究を行う(旅費他)。翌春にはローマの図書館で資料研究を行う(旅費他)。また、出版プロポーザルの資料を集め、執筆を始める(物品費など)。
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