• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2015 Fiscal Year Research-status Report

絵物語の理論的源泉としての観相学

Research Project

Project/Area Number 26370157
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

森田 直子  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (40295118)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords観相学 / 絵物語
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、以下の2点にまとめられる。(1) 19世紀前半のスイスで創り出され、のちのコミックス(ストーリー漫画)の原型となったR.テプフェールの絵物語(版画物語)が、17・18世紀ヨーロッパの美術や演劇の理論および修辞学を経由して観相学をとりいれることによって、いかに独自の表現原理を編み出したかを示す。(2)「内面を映しだす顔」と「作法・演技としての顔」という、相反する顔表現への関心が、絵物語という新しいメディアの語りのしくみを生み出すまでの18世紀の物語芸術(美術、演劇、舞踏等)の実践的・理論的展開を解明する。
平成27年度は、一作品あたり何百もの顔を描く必要のある絵物語というメディアにおいて、「顔で語る」ことがいかに実現されているかという問題に、26年度とは異なる観点から取り組んだ。具体的には、20世紀以降主流となるフキダシを排除した、絵と文の並置という形式による語りにおいて、内面を映しだすとともに隠蔽もする顔の絵がどのような役割を果たすかという問題を物語論の枠組みから考察した(早稲田大学にて口頭発表)。
また本年度は、漫画史研究のなかにテプフェールを位置づけるにあたっての方法論上の試行錯誤を経験した。日本でテプフェールの絵物語を評価する場合、17・18世紀の芸術思潮からの影響を重視するよりも、テプフェールの革新を現代からさかのぼる視点で(現代に至る過程として)示すほうが理解しやすい、という問題がある。フランスのBD博物館のサイトで運営されるオンライン専門誌の編集者からの誘いを受け、日本におけるテプフェール研究の意義と困難について寄稿した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

R.テプフェールが、17・18世紀ヨーロッパの美術や演劇の理論および修辞学をいかに絵物語(版画物語)のなかに結実させ、観相学を物語の装置として活用したかという問題について、研究を深化させた。スピーディな運動表現を扱った26年度につづいて、登場人物の言葉や思惟の表現と、顔の表現との関係について明らかにすることで、絵物語独自の表現原理の解明を進めた。彼の試みの前提となった17・18世紀の物語芸術の理論的検証については、「概要」に述べたとおり研究方法を変更する可能性も検討しているが、軌道修正のうえ、3年の期間終了までに、まとまった成果を出せると考えている。

Strategy for Future Research Activity

27年度にフキダシ形式の絵物語とテプフェールを比較することで、テプフェールにおける語りのしくみの独自性に気づかされた。これにより、本研究を計画した段階と比べて、物語る行為において「内面を映し、隠蔽する顔」の絵を活用することを、小説の技法の歴史と関連づけて考える必要が新たに生じた。近代小説の語りと「文明の作法」との関連も看過できない。当初は美術、演劇、舞踏の理論のほうに重点を置いていたが、こうした若干の軌道修正を行ったうえで、観相学と絵物語の語りとの関連について3年間の研究成果をまとめる予定である。成果発表にあたっては、研究集会という形で企画し、研究協力者との議論から今後のあらたな研究の方向性を議論する。

Causes of Carryover

本研究の2年目の成果発表会の企画と、研究協力者の別の企画との時期がたまたま重なり、本研究とは別の財源による研究協力者の企画を補助する必要が生じた。同じ時期に2つの企画を並行して行うことができなくなり、3年目の早い時期に2年目の成果発表を兼ねた研究集会を企画することにした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当初27年度後半に予定していた研究集会を28年度夏までに実現する予定である。そのための経費(謝金等)を28年度請求額と合わせて使用する計画である。

Research Products

(5 results)

All 2015 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] CIBDI(フランス)

    • Country Name
      FRANCE
    • Counterpart Institution
      CIBDI
    • # of Other Institutions
      1
  • [Int'l Joint Research]

    • # of Other Countries
      1
  • [Journal Article] La decouverte de Topffer au Japon2015

    • Author(s)
      Naoko Morita
    • Journal Title

      neuvieme art 2.0, la revue en ligne de la Cite internationale de la bande dessinee et de l’image

      Volume: rubrique122 Pages: -

    • Open Access
  • [Presentation] フキダシのないストーリーマンガ:19世紀ヨーロッパを中心に2015

    • Author(s)
      森田直子
    • Organizer
      ワークショップ「マンガ、あるいは「見る」ことの近代」第6回
    • Place of Presentation
      早稲田大学(東京)
    • Year and Date
      2015-07-25
    • Invited
  • [Remarks] ナラティヴ・メディア研究会のご案内

    • URL

      http://www.media.is.tohoku.ac.jp/~morita/nm.html

URL: 

Published: 2017-01-06  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi