2014 Fiscal Year Research-status Report
森山威男のフリースタイル奏法のデジタルアーカイブ作成および対話を通じた分析と考察
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26370159
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
松野 誠(長谷部浩) 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (10323768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀川 徹 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (70359686)
松原 隆一郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90181750)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フリージャズ / 山下洋輔トリオ / フリーフォーム / ドラミング / アイコンタクト |
Outline of Annual Research Achievements |
ジャズ・ドラマー・森山威男氏が「山下洋輔トリオ」在籍時に編みだし、世界的 な評価を得たフリースタイルの演奏技術は、現在は継承する者もなく、当人の身体に暗黙知とし て埋め込まれたままとなっている。本研究は、森山自身が対話を経つつフリースタイルの分析と 実演を遂行する様子を、ドラムセットの各部に設置したマイクと撮影器機によって収録し、技術 の全貌を捉えようとする試みである。 記録の方法としては、対話者の質問に答える形で森山氏が随時実演を交えつつ、自己のスタイルを分析する。実演に際しては、ドラムセットのすべての部位と演者の手足各部を最新の映像技術で撮影する。 以上が初年度の予定であり、26年度8月の段階で森山氏単独による説明・演奏について撮影は終了し、27年度にその分析と編集を行う予定であった。ところが森山氏の発案により、山下洋輔氏とのデュオ、坂田明氏とのデュオを実演・収録することとなり、両氏からも快諾を得て、2014/9/29、2015/2/24に撮影を行った。「山下洋輔トリオ」時代の演奏は音源のみ残っており、動画が収録できたのは望外の成果である。また撮影は演奏者相互の視線のやりとりをその延長線上にカメラを置いて行ったものであり、いかに彼らがアイコンタクトを行っているかが明確に分かるものとなった。これも大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
森山氏単独の演奏と分析を撮影することまでが初年次の課題だったが、それは夏に終了し、その後に予定外の山下氏・坂田氏とのデュオを収録することができた。今回の研究目的を超えることではあるが、デュオ映像を収録したことだけでも大きな研究成果であり、音楽界にとっても貴重な貢献ができたと考える。 また山下氏との対談、坂田氏との対談、三人がpitinnにおけるライブ映像も追加収録することができた。これは予定になかった成果である。 これらの研究成果について、ヤマハ・ミュージック社がDVDでの出版を申し出てくれており、研究の完成後に成果物を公表できる見通しが立った。 さらにドイツにて1974年6月2日に行われた山下洋輔トリオの歴史的な演奏についての現地の新聞報道を発掘・入手することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
収録については予定以上・予想以上に進んだので、今年度はそれらの整理と編集を行う。 山下氏・坂田氏に謝金を支払った関係上、三年目に行う予定だったシンポジウムは科研費を使っては行わない方向で進める予定である。
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Causes of Carryover |
ドイツに依頼した調査のための交通費などに細かい変更があり、27年度に繰越額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドイツで1973年の新聞を探すのに現地の方に仕事を依頼したが、ほぼ残額に相当する交通費が発生して未払いとなったてるため、それに充当する。
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Research Products
(1 results)