2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dramatic ballet: the foundations of its composition
Project/Area Number |
26370170
|
Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
譲原 晶子 千葉商科大学, 政策情報学部, 教授 (80283224)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 香織 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (30580427) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | プリ・ロマンティックバレエ / 舞台タブロー / ディドロ / スデーヌ / ノヴェール / オペラ・コミック / 『リーズの結婚』 / メロドラマ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度としてこれまでの研究の集大成を行った。 ①昨年度に引き続き、これまで共通点ばかり論じられてきたディドロとノヴェールの「舞台タブロー」について、両者の本質的な違いを解明した。そして、ディドロが『私生児対話』で論じた複合舞台の融合はディドロ以前よりオペラ・コミックで実践されていたこと、スデーヌはこれを本格的に実践するために舞台装置の変革に着手したこと、その表現手法はメロドラマの「タブロー」へと引き継がれていったことを示し、さらに、ディドロ、スデーヌ、ピクセレクールらが開拓していった方法論の系譜は、「舞台タブロー」の概念が「絵画的な舞台表現」から「舞台装置による作品区分」へと変化するのに一役を担ったことを示した。また、同時代のバレエ『リーズの結婚』も、ディドロ、スデーヌから多大な影響を受けていることを、この作品のバレエ版とオペラ・コミック版の台本分析から明らかにした。研究成果は、アメリカの学術誌Dance Chronicleに投稿しアクセプトされた。 ②本研究を通してバレエにおける「アラベスク」(装飾模様の「線」)の概念の重要性に気づいた。17世紀の舞踊譜に描かれた「線」も、19世紀にダンサーの身体が舞台で描いた「線」も「アラベスク」と捉えられてきたが、それは舞踊や身体を自由に変形させる仕組みとしての役割を果たしてきた。「アラベスク」は、舞踊と舞踊以外の芸術分野を関連付け得る極めて重要な概念であるにもかかわらず、この概念が舞踊の領域で当時どのように議論されてきたのかは曖昧なままである。その重要性を発見したことも一つの成果ではあるが、今後の課題は大きい。 ③本研究では、17世紀のメネストリエの理論を起点にプリ・ロマンティックバレエの全貌を探求し、そこに現在のバレエの種子と言うべき重要な要素を見出してきた。本年度の大半は、これらの成果を著書としてまとめる作業に費やした(未完)。
|
Research Products
(2 results)