2014 Fiscal Year Research-status Report
『万葉集』の本文と付訓の戦後研究史総括と新時代への《読み》の可能性提示の研究
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26370213
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
大浦 誠士 専修大学, 文学部, 教授 (10319212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 右富実 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (30244619)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 万葉集 / 和歌 / 日本文学 / 上代文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代以降の万葉集の注釈書・テキスト類を対象として、それぞれの漢字本文・訓読の差異を析出し、万葉集歌の訓読史を一覧において確認するとともに、その異なりを解析するシステムを構築することによって、万葉集歌の訓読の変遷の把握、訓読上の問題箇所の発見を目指すものである。さらに、時代背景と訓読史との関わりを分析することも目的の一つである。 26年度はその基礎的な作業として、研究分担者と分担して万葉集テキストのデータ入力・校正作業を中心として推進した。現在のところ、小学館日本古典文学全集『万葉集』、小学館新編日本古典文学全集『万葉集』、岩波書店新古典文学大系『万葉集』の三つのテキストについて、漢字本文と訓読のデータ入力・校正が終了している。また、実験的な作業として、日本古典文学全集『万葉集』と新編日本古典文学全集『万葉集』のデータを合わせて、その異なりがどのような形で分析可能かを確かめる作業を行い、有益な結果を得ることにも成功した。 27年度においては、26年度に行ったデータ入力・校正作業をさらに他の注釈書・テキストにまで広げ、それらを統合して解析するシステムを試験的に作る研究を推し進めて行くこととなる。 このシステムの構築によって、これまで個別に検討が行われていた注釈書・テキスト類の漢字本文・訓読の比較対照が、網羅的かつ効率的に行えるようになり、万葉集歌の読解における問題箇所の発見と検討が、飛躍的にスピーディーに行えるようになるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際に漢字本文、訓読のデータ入力の作業を行う上で、字体の異なりや難訓箇所などに当初の予想以上の問題が確認され、研究分担者と連携しつつ問題解決の方法を検討する必要があったため、当初データ入力・校正の予定と比べて、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に引き続いてデータの入力・校正作業を進めてゆくが、さまざまな問題点について、研究分担者と話し合いつつ、一つ一つ解決して進めているので、27年度については、作業は加速されるものと考えられる。また、入力の終わったものから逐次統合したシステムを組み上げ、最終的なシステムに向けての実験を繰り返すこととなる。 ただし注釈書やテキストには、それぞれ字体や用字などに特徴があり、入力作業を進めるに従って入力上の統一的な処理が必要な問題が生じてくるものと予想されるが、生じた問題に即して逐次解決し、統一的なデータベースの作成を目指して行くこととなる。
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Causes of Carryover |
「現在までの達成度」の理由覧に記したように、データ入力・校正作業を行う中で、字体の統一的処理等、さまざまな問題点が浮上し、一つ一つの問題を検討する必要があったために、アルバイトを用いたデータ入力・校正の作業が当初の計画よりも遅れた。そのために人件費の使用が少額となったことが最大の理由である。 また、データ入力・校正を行うためのパソコンを1台調達したが、複数のアルバイトが同時に作業を行うことができず、作業効率が予想よりも上がらなかったことも理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、データ入力・校正を行うパソコンの台数を増やし、アルバイトの人数も26年度よりも増やして、作業のスピードアップにつとめる。そのため、物品費、人件費を中心に支出を行う計画である。
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Research Products
(6 results)