2016 Fiscal Year Annual Research Report
The American Renaissance and its Background in Intellectual History
Project/Area Number |
26370271
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉国 浩哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50600186)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アメリカ文学 / 美学 / 批評理論 / 物語 / メルヴィル |
Outline of Annual Research Achievements |
メルヴィルの短篇とカントの倫理哲学との関係を考察した"Kant with Bartleby: A Fate of Freedom"がNineteenth-Century Literatureの6月号に掲載された。19世紀の英米文学研究としては代表的な雑誌であるので、本研究の成果ならびに日本における英米文学の研究水準を国際的にも示すことができたと考える。 9月にはヨーロッパ大陸の哲学研究で知られるロドルフ・ガシェを招いてStorytellingに関するセミナーを開催した。ホロコーストのサバイバーが物語る能力を喪失してしまったという事態を考慮に入れつつ、現象学者Wilhelm Schapp、Walter Benjamin、Hannah Arendtの三者における、人間の根本的な条件としての「物語る」能力が検討された。哲学と文学との関係のあり方を考察対象とする本研究にとっては、大変有意義なものであった。 3月にはアメリカ合衆国ボルティモアで開催されたNortheast Modern Language Associationの年次大会で宗教とユートピアをめぐるパネルに参加した。私はベンヤミンを中心としたマルクス主義文学理論における「小説の理論」に関する発表を行ったが、とくにユートピア思想としての小説の理論と世俗化以降のユートピアのあり方が質疑応答やパネル参加者同士のディスカッションの中で検討された。 同じく3月にニューヨーク州立大学バッファロー校において、ベンヤミンの「物語作者」について招待講演を行った。ベンヤミンにおける「自然史」の時間性や「神話」と「情報」の関係についての問題提起など、活発な意見交換がなされた。
|
Research Products
(3 results)