2015 Fiscal Year Research-status Report
18-20世紀の旅行記によるネットワークの形成とジャンル間の相互影響に関する研究
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26370286
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
天野 みゆき 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (50258282)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 旅行記 / シャーロット・ブロンテ / ジョージ・エリオット / エリザベス・ビショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
<シャーロット・ブロンテ> 1) 『教授』はブロンテ自身のブリュッセル留学体験を色濃く反映しつつ、異なる形とレベルの旅を描いた作品であること、作者の関心に基づく歴史、民族、宗教的連想により、個人の体験と民族や国家の体験を重ね合わせながら問題提起をする、小説と旅行記が接近した興味深いテキストであることを明らかにした。(天野みゆき「Ambition の追求―『教授』における旅」を図書2に掲載) 2) 『シャーリー』が、旅に憧れ、それを実現する女性ローズを通して、生き方と読み方の問題を性別や階級を越えて共有されるものとして探求していること、それは最後の作品『ヴィレット』の前段階として必要な試みであったことを示した(天野みゆき「『シャーリー』におけるローズ・ヨークの役割」を図書3に掲載) <ジョージ・エリオット> 「アガサ」は、聖母マリアとアガサを重ね合わせつつ両者を称える聖歌(アンティフォナ)と言える詩であり、エリオットが自身の旅での体験をいかに昇華させたものであるかを明らかにした。また、この詩とエリオットの他の詩との関連性、シャーロット・ブロンテのエッセイとの関連性も示した(論文1)。 <エリザベス・ビショップ> 彼女の詩集『旅の問い』において、なぜ子供時代の経験に基づく物語が中心におかれているのかという問題を、テーマ(母娘関係、家と旅、日常生活における悲劇)と技法(色と音による象徴)の点から論じた(学会発表1)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を二回、学会のシンポジウムで発表した。そのうち1回は、今回初めて取り組んだ詩人、エリザベス・ビショップについてであり、研究の幅を広げることができた。また、論文も数本執筆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、小説と旅行記(手紙等)の両方を執筆した作家を中心に研究を進めていく。平成28年度は特に、ジョージ・エリオットとシャーロット・ブロンテおよびエリザベス・ビショップとの関連性、ジェイン・オースティンの語りの技法に焦点をあてる。
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Research Products
(8 results)