2016 Fiscal Year Research-status Report
ジョウゼフ・コンラッドの作品と「東洋の海」に関する研究
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26370298
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
設楽 靖子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (10311242)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英文学 / イギリス小説 / コンラッド / 東南アジア島嶼部 / イギリス近代史 / ポーランド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英文作家ジョウゼフ・コンラッド(1857-1924)の生涯と作品について、19世紀後半の出身地ポーランドでの前半生、イギリス商船員としてアジア・アフリカなどでの体験、19世紀末~20世紀初頭のイギリスに定住しての作家生活、という3つの側面を、それぞれの時代背景の中で読み解くことを試みるものである。本研究の特徴は、作家自らが体験し作品の舞台とした「東洋の海」、すなわち19世紀後半の東南アジア島嶼世界との関わりに焦点を当てていることである。研究計画の3つの柱は、「文献調査」「現地調査」「アジア地域を拠点とする研究者とのネットワーク作成」である。 この構想に沿って、3年目(平成28年度)は、文献収集およびネットワーク形成のための活動を継続しながら、関連一次資料が蓄積されているシンガポール(National Library, National Archives, Institute of Southeast Asian Studies Library等)にて「資料調査」を行なった。その成果の一部は、日本コンラッド協会の機関誌『コンラッド研究』掲載用のエッセイ「新刊紹介: Andrew Francis著 Culture and Commerce in Conrad's Asian Fiction (Cambridge, 2015)」において利用した。 また、シンガポールはコンラッドのアジア体験の拠点であったことから、今回の調査滞在は「現地調査」も兼ねていたが、港湾施設・医療施設・博物館・植物園といった19世紀以来の諸施設が、伝記的事実の裏付けや作品化への特徴を探るうえで重要であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年4月の所属研究機関変更により研究環境が変わったため、計画の変更を余儀なくされた部分があった。この移行期の事情は、順次、調整できてきたので、次年度は、海外での学会参加なども可能になる予定である。 また、現地調査を行なう予定の東南アジア島嶼部(特にインドネシア)への渡航を、政情不安により見合わせている事情もある。これについては、治安の良いシンガポールなどでの現地調査・資料調査を行なって成果を上げる方向である。
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Strategy for Future Research Activity |
「ネットワーク作成」の一環として、海外の学会への参加を年一回は行なう。次年度(平成29年度)は、アメリカ・コンラッド協会主催の学会(於ニューヨーク)、あるいはポーランドでの国際学会への参加を予定している。また、「資料調査」として、アメリカ・エール大学所蔵のコンラッド・コレクション(原稿・書簡など)の調査を予定している。 また、次年度(29年度)には、日本コンラッド協会の全国大会を、勤務校を会場として開催計画中である。
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張(学会出席、資料調査、現地調査)が、業務の集中や家族の急病、また現地の治安問題などの理由で不可能となったため、短期間のシンガポールでの資料調査のみとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にはそうした事情が調整できる見通しなので、積極的に進めたい。
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Research Products
(1 results)