2016 Fiscal Year Annual Research Report
Planetarity and Nuclear Criticism: Cross Cultural Readings of Anglophone and Japanese Nuclear Literature
Project/Area Number |
26370306
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
一谷 智子 西南学院大学, 文学部, 教授 (70466647)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 核批評 / 核の表象 / 原爆文学 / オーストラリア先住民 / カナダ先住民 / エコ・クリティシズム(環境批評) / グローバル・リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語圏と日本の文学作品における(原爆・原発を含む)核の表象を横断的に考察することで、冷戦時代にジャック・デリダを中心として展開された西欧中心の核批評を再考し、2011年の福島での原発事故を経た現代社会にあって見出しうる新たな核批評の構築を目指すものである。 これまで、アメリカ、カナダ、オーストラリアの作品群を分析してきたが、最終年度の本年度は、原子力エネルギーによって支配された世界と、核兵器の誕生と核戦争のありさまを描き、世界ではじめて「原子爆弾」という用語を使用したイギリスの作家H.G.Wellsによる1914年の小説『解放された世界(_The World Set Free: A Story of Mankind)_ 』と戦後日本の世界連邦運動とを関連づけて分析した。本研究は論文としてまとめられ、共著『架空の国に起きる不思議な戦争』の6章に「核時代の到来を予言した作家―H.G.ウェルズ『解放された世界』からヒロシマへ」に掲載された。 また、昨年より研究を進めてきたオーストラリアの核実験で被曝した先住民(アボリジニ)の経験を描いた演劇_Ngapartji Ngapartji_に関する分析をまとめ、エコクリティシズム研究学会と多民族研究学会の合同大会のシンポジウムで発表した。さらに、昨年の国際学会で発表したカナダ先住民アーティストMarie Clementsによる演劇_Burning Vision_の論考をまとめた。近日中に共著として発刊される。 本年は同時に日本の作家である林京子の『トリニティからトリニティへ』と津島佑子の『ヤマネコ・ドーム』の作品分析を行った。既に分析した英語圏の文学との比較を行い論文にまとめる予定である。
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Research Products
(7 results)