2014 Fiscal Year Research-status Report
アメリカン・ルネサンスと日本開国を繋ぐ19世紀アメリカ言説の考察
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26370344
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中西 佳世子 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (10524514)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホーソーン / ペリー / 日本開国 / アメリカン・ルネサンス / 19世紀言説 |
Outline of Annual Research Achievements |
那覇市歴史博物館で琉球王国史『球陽』にあたり琉球王国滅亡直前の彗星、異国船、天変地異などに関する記述が記載されている本研究に関する有用な資料を得ることが出来た。 またニューヨークのブルックリン海軍工廠博物館(Building 92)を訪問した。ペリーの尽力によって1833年に創設されたブルックリン海軍工廠ライシーアム(文化会館)の図書館は幅広い教養を備えた海軍士官を養成するというペリーの文学に対する深い関心が見て取れるものであるが、今回の訪問では、ライシーアムやペリーの住居跡地を訪れ、ブルックリン海軍工廠とライシーアムに関する資料の入手を行った。また、ペリーによる日本開国の背景的思想がマッカーサーによる戦後日本支配の思想に受け継がれていることがわかる有益な資料も入手できた。ワシントン海軍工廠ではNational Museum of the U.S. Navyとその図書館を訪問した。図書館では、ペリーの文学に対する深い造詣が窺える日本では入手できない古い伝記が見つかり、デジタルカメラでの撮影の許可を得て資料を入手した。 5月の日本ナサニエルホーソーン協会全国大会では、ホーソーンの『緋文字』に関する発表を行い、また12月の日本ナサニエル・ホーソーン協会関西支部例会では、出張で得た資料にコーネル大学のアーカイブズなどで収集した資料を加え、今年度の研究報告として「空と海を巡る転換期の文学的想像力―ホーソーンと海軍、ペリー提督と文学―」の発表を行った。特に後者では、ペリーが幼少期にイギリスの名家出身の母親から古典文学の教育を受けていたこと、そして、船乗りの家に生まれたホーソーンが、当時発展しつつあった海軍へ強い関心を抱いていたことに言及し、日本開国を実現した時の海軍提督と、『緋文字』でその名を不動にした作家が、19世紀アメリカの思潮を共有する素地をもっていたことを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で予定していたアメリカの海軍工廠での資料収集、並びにペリー来航の地での資料収集が順調にすすみ、学会での調査報告発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では引き続きアメリカでの資料収集を行う。主にアナポリス海軍士官学校に保管されているブルックリン海軍工廠ライシーアムの図書館蔵書資料を閲覧するとともに、ペリー提督の子孫であるペリー博士のインタヴューを行う予定である。また国内ではペリー来航の地である小笠原の父島でペリー提督に関する資料収集を行う。 今年度発表した「空と海を巡る転換期の文学的想像力―ホーソーンと海軍、ペリー提督と文学―」を論文して学会誌に投稿し、また今年度の調査報告の準備を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の研究調査出張の回数が予定より少なく済んだため、その分の旅費、その他の費用を繰越することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度に行う東京での調査の日程を延長する必要があるため、宿泊費(12000×2)と日当(4500×3)ならびに、現地での交通費と資料コピーの依頼費他(2500)に充てる。
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Research Products
(2 results)