2015 Fiscal Year Research-status Report
アメリカン・ルネサンスと日本開国を繋ぐ19世紀アメリカ言説の考察
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26370344
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中西 佳世子 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (10524514)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海軍ディスクール / 日本開国 / アメリカン・ルネッサンス / 19世紀アメリカ言説 / 文学的想像力 / ペリー提督 / ナサニエル・ホーソーン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年の調査ではペリーと文学との繋がりが確認できた。今年度は、この点に関する具体的な資料を収集する為にアナポリスとニューポートで調査を行った。アナポリスでは、Naval Academyの博物館と図書館を訪れ、博物館では、ペリー提督がブルックリン海軍工廠ライシーアム図書館に寄付した書籍の目録を入手した。図書館ではブルックリン海軍工廠図書館の1841年蔵書カタログの手書き原稿を閲覧してホーソーンも寄稿していた『民主党機関紙』の記録があることを確認した。また、ペリー一族の故郷のニューポートでは、18世紀より運営されているレッドウッド図書館で調査を行い、オリバー・H・ペリーが1817年に図書館に出資した際の証券の写し、その他の資料を入手した。これらの資料はニューポートにおけるペリー一族の文化的担い手としての位置を示しているが、そうした環境がペリー提督の文学的素養の形成に大きく影響したと考えられる。 これらの調査結果に基づき、ナサニエル・ホーソーン協会全国大会(2016年5月)で「海洋国家アメリカの文学的想像力―海軍のディスクールとアンテベラムの作家達―」というテーマでシンポジウムの司会と発表を行う。ここでは、ホーソーンとペリーに共有される海軍ディスクールと文学的想像力についての考察を行うとともに、同時代の他の作家(アーヴィング、クーパー、メルヴィル)を扱う他の登壇者の方々の論考との相関性を検討する。ホーソーンに限らず、同時代の作家と海軍ディスクールとの関係を知ることで、より広範な視点から「アメリカン・ルネサンスと日本開国を繋ぐ19世紀アメリカ言説の考察」という本科研テーマの研究を深める契機とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り海外調査、学会参加、資料収集を行い、その結果に基づく研究発表を学会で行う準備がすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果をもとに、関連するテーマを行っている他の研究者との交流を図り、最終年度の締めくくりとなる枠組みの構築を図る。具体的には、日本ナサニエル・ホーソーン協会全国大会(5月)において「海洋国家アメリカの文学的想像力―海軍のディスクールとアンテベラムの作家達―」というシンポジウムのコーディネータを務め、発表も行う。こうした研究の深化と拡充をさらに図る為、発展的内容にて次の科研費の申請を行い、研究書の出版へと繋げる方針である。
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Research Products
(1 results)