2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370458
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トルコ語 / 呼気流量 / アクセント / トルクメン語 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は「トルコ語のアクセントに呼気流量は左右されるのか?」という問題を扱った。 トルコ諸語における独特の音調に伴う音声学的特徴、主としてプロソディーを明らかにするために行われている本課題の一つとして、高さアクセント言語としてのトルコ語におけるプロソディーの諸特徴を捉える研究を行っている。この視点がこれまでの研究ではまだ不十分であったためである。特に生理音声学的研究は人文系の研究ではあまり開拓されておらず、通言語学的なデータを見るためには不可欠なデータとなってくる。また、トルコ語が高さアクセントであるため、英語のような強さアクセントによる研究に左右されることなく、日本語との類似性を対照できる点でメリットが大きい。 呼気流の研究は、母音や子音に対しては一定の成果を示しているが、超分節音に対する検証はあまり行われていない。そこで、本研究は、トルコ語におけるアクセントに伴う音調の高低が呼気流量に影響を及ぼすか否かを検証するために、PHONO-LARYNGOGRAPHを用いて、各音節のピークとなる呼気流量を計測した。分析資料としては、基本アクセント型である語声調によって語末が高くなる語群と、例外アクセント型である下がり目によって高くなる語群を用いた。結果として、語声調、アクセントの下がり目、重音節という音節構造のいずれもが、呼気流量の増減に積極的に関わっているとは言えず、アクセントにおける音調は呼気流量を左右しないということが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トルコ語のアクセント体系の精査については、トルコ語の呼気流量を調べた結果を書いた論文に、これまでのトルコ語アクセント研究を整理した論述を示したため、これまでバラバラであった論考を一括して読めるようになったという点で、順調に進展している。 トルクメン語の調査については、筆者らが過去に公刊した『トルクメン語入門-キリル文字編』を「ラテン文字編」にするための改訂作業が進められている。27年度は準備期間であり、28年度内には終える目処がついている。
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Strategy for Future Research Activity |
アクセントを捉えるにあたって、基本周波数と持続時間長の相関を捉える必要がある。通言語学的に18言語における音節数と持続時間長との相関性が、アクセントによって左右されるかという結果を、26年度に公刊しているが、そのトルコ諸語オグズ語群版を今年度まとめる予定である。 トルコ語の音調における階層性については、現在整理する段階に入っており、年度内には何らかの形で公刊できるだろう。 トルクメン語については、入門書の改訂版ができることで研究の進展の基盤が構築されることになる。
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Causes of Carryover |
28年度において論文掲載料が必要となったため、その分を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度論文投稿料として使用する。
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