2017 Fiscal Year Research-status Report
タンガニイカ湖周辺の人々の移動と言語接触に関する研究
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26370477
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
阿部 優子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (80724442)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンガニイカ湖 / バントゥ諸語 / ベンデ・トングェ語 / 未完了アスペクト / Microvariation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンザニア・ブルンジ・コンゴ民主共和国の4国の国境線をなしているタンガニイカ湖の周辺に暮らす人々の語られる移動の歴史と、民族語の言語記述を通じて言語接触の可能性を比較対照することで、語りと言語事実による歴史を再構築することを目的とする。具体的には、タンガニイカ湖周辺で話される9言語(ベンデ・トングェ語、ハ語、ホロホロ語、フィパ語、マンブェ・ルング語、ルンディ語、ターブワ語、ベンベ語、内陸スワヒリ語)を対象とし、語彙および複数の文法特徴について記述、比較対照する。 1年目(平成26年度)は、先行研究のデータ整理を中心とする文献研究(ターブワ語、内陸スワヒリ語)、以下の言語(ベンデ・トングェ語、ターブワ語、ベンベ語、マンブェ・ルング語、ルンディ語、)の現地調査を行った。 2年目(平成27年度)は、ターブワ語とベンベ語について、追加の現地調査を行った。また、バントゥ諸語の文法現象の比較のための枠組みとして、ロンドン大学SOASの研究チームが提案するMicrovariationパラメターを用いて、ベンデ・トングェ語の文法調査、整理を行った。 3年目(平成28年度)は、上記ロンドン大学の研究チームとの連携を強化するため、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にて、共同利用・共同研究プロジェクト(バントゥ諸語のマイクロ・バリエーションの類型的研究(フェーズ1))をスタートさせ、国際ワークショップを開催した。また、現地調査にてベンデ・トングェ語およびフィパ語のMicrovariationを記述した。 4年目(平成29年度)は、新任校での業務および家庭事由により、研究を一時中断した。上記の共同利用・共同研究プロジェクトを進行することで、現地調査はできなかったものの、これまでの研究データを整理し、persistiveアスペクトに関する論文を執筆、投稿した(査読中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、研究を一時中断し、1年間の研究期間の延長を申請した。同年中は、海外渡航、研究発表をすることも叶わなかったものの、これまでの研究データを整理することで、Oxford University Pressより出版予定のMorphosyntactic variation in Bantu (Eva-Marie Bloom Strom, Hannah Gibson, Rozenn Guerois, Lutz Marten eds.)に掲載予定の論文を執筆した。論文タイトルは、"Morphosyntactic Variation of the Persistive Aspect in Bantu, with a Special Focus on Lake Tanganyika Bantu"で、現在、査読中である。2018年内に出版の予定である。 また、平成30年3月27-28日にロンドン大学SOASで開催されたバントゥ諸語のマイクロバリエーションに関するワークショップにディスカッサントとして参加し、今後の共同研究の方向性や、成果公開の方法についても協議した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、最終年度であるため、研究対象としている9言語(ベンデ・トングェ語、ハ語、ホロホロ語、フィパ語、マンブェ・ルング語、ルンディ語、ターブワ語、ベンベ語、内陸スワヒリ語)のうち、文献資料からデータを得られるものから優先的に、Microvariationパラメターを用いて整理する。特に、動詞アスペクトのうち、未完了アスペクトの一つであるpersistive標示(バントゥ祖語の*ki-)の意味拡張および未完了アスペクト体系全体の考察を行うことを目的とする。また、アスペクト研究に関連してベンデ・トングェ語の例から動詞アスペクトの分類を試みており、その成果を7月に南アフリカのケープタウン大学で開催される「国際バントゥ諸語会議」にて発表予定である。 また、8-9月中に、コンゴ民主共和国およびタンザニアにて現地調査を行い、とりわけ動詞アスペクトに関して、数言語(ターブワ語、ホロホロ語、内陸スワヒリ語、フィパ語など)の資料を収集する予定である。さらに、比較言語に新たにコンゴ民主共和国で話されるフリール語の資料を加える予定である。これはフリール語について、詳細な参照文法が出版されたために、比較が可能になったためである。 研究成果の公開の準備もすすめており、平成30年度中に、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所より、マイクロバリエーションの資料集の出版を予定している。さらに、データについては、別途、ロンドン大学SAOSのデータベースに登録・公開する準備を進めている。
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Causes of Carryover |
平成29年4月より、東京女子大学に特任准教授として着任した。新任校での新規授業の準備、ゼミの運営など、新規業務による多忙のため、また前任校である東京外国語大学での授業を継続して担当したことにより、研究時間を確保することが困難であった。さらに平成29年3月より夫が国外に移住したことにより、子の養育負担が増加したことで、夏休み期間中の現地調査、研究発表の機会を持つことができず、平成29年度の事業については、延長することを承認いただいた。 そこで平成29年度に予定していた事業を、30年度に実施することとした。具体的には、7月に南アフリカのケープタウン大学にて開催される国際会議への参加のための旅費、8-9月にコンゴ民主共和国およびタンザニアでの現地調査のための旅費、そして論文執筆に伴う英文校閲費を予定している。
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Research Products
(3 results)