2017 Fiscal Year Research-status Report
韓国南部方言と九州北部方言のアクセント型の同源性の有無に関する通時的・実証的研究
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26370488
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
板橋 義三 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (50212981)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮語のアクセント型 / 日本語のアクセント型 / アクセント型の同源性 / 韓国南部沿岸方言 / 九州北部沿岸方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
朝鮮語方言のアクセントの変遷に関する先行研究の成果を確認しながら、韓国の朝鮮語のアクセントの史的変化を確定し、また地域類型論による朝鮮語方言のアクセントの方言周圏論を1つの作業仮説として取り入れる。即ち、ソウルの無アクセント(一型アクセント)が最も新しいアクセント形式であり、慶尚道方言、成鏡道方言のそれが最も古いと仮定し、中期朝鮮語からの史的変化を確定する。その後に、韓国産部方言の慶尚道方言と全羅道方言を詳細にフィールド調査し、その対岸の九州北部沿岸の方言群を調査し、その調査結果から原九州北部方言を確定し、その日本と韓国の方言のアクセント型を照合する。 平成27年度以降調査地域が変更になっているので、28年も本年度の29年度も調査地を変更せざるを得なかった。28年度は光州市と全羅道谷城郡に変更したので、調査が最後の本年29年度は被験者がなかなか集められなかったことから研究室の学生の知人であるキリスト協会信者を慶州市で3名、慶州北道で2名、被験者として集めた。この地域は釜山より北東部の地域になり、三国時代から統一新羅時代の中心として栄えた土地である。 その一方、日本では長崎県の壱岐の島と対馬に最終調査地点として本来予定されていたところに出かけた。壱岐の島には10月7日に3名の被験者に対して調査を行った。今回は壱岐の島では全く問題なく調査ができたが、社協の方のご協力によるものである。対馬においては11月11日に同じく3名の被験者を対象に調査を行った。対馬でも同様に社協のご協力によって調査を完了することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度から継続して韓国南部地域を被験者数と調査地域数をほぼ確保することができたと同時に、今回予定通りに調査が実行された。しかし、今回、慶州北道地域の被験者が2名となり、後1名確保することが叶わなかった。この後者の調査は予定には入っていなかったが、蔚山地区の被験者を確保ができなかったが、その代替案である。今回、平成29年度は韓国における被験者の確保の難しさを再度強く感じた。 それに対して、日本における調査は平成29年度に予定した長崎県壱岐の島と対馬を訪ね、予定通りの人数を確保し、予定していた地域を調査地として実施することができた。 韓国と日本における方言アクセントの調査はより高い裏付けと信ぴょう性がある、調査となり、より良い結果を生んだものと期待できる。 以上のことから、全般的に今年度、平成29年度の調査はおおむね予想通りの進展であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国と日本の両国で全調査が終了しているので、それぞれの方言のアクセント型を整理し、その特徴をまとめて考察する。これまでのアクセント型をすべて纏め、報告書として刊行すると同時に、これまでのデータを基に著書として刊行する。平成30年度の最終年度までに以下のことを行う: (1)韓国国内外の先行研究の最新の研究成果を基盤にして、地域類型論の観点を取り入れ、中期朝解語の時期からのピッチアクセントの変遷を、文献調査を十分視野に入れ、フィールド調査を通して実証していく。特に韓半島南部地域一帯の慶尚道方言、全羅南進方言を詳細・丁寧にフィールド調査し、南部地域一帯のアクセントの史的変化を確定する。(2)北部九州方言(北九州・福岡、佐賀県・長崎県北部沿岸、壱岐・対馬)も同様に詳細・丁寧にアクセントのフィールド調査の成果に基づき、その変遷過程を探求する。さらに、先行研究の成果も加味して日韓両語のアクセント祖型を再構築する。(3)早田(1999)の言う朝鮮南部から九州北西部の類型的かつ同系的つながりがあるとするかどうかを明確にする。その際に、この類似が単に類型的な類似に留まるのか、あるいは地域類型論的視点が入る余地、即ち、史的な側面も含めて類型を考えるべきなのか、さらには、日韓のアクセント型に相関関係があるかどうかを考察し、同系の可能性や借用の可能性などについても分析・考察する。(4)次に中期朝鮮語からどのように現代の諸方言が形成されたのかを系統的に明らかにした後、その古代朝鮮語のアクセント祖型をすでに再構築したものから韓国南部方言への変遷を考察する。(5)その朝鮮語の南部方言のアクセント祖型を北部九州方言の祖型と比較し、どの程度日韓のアクセント祖型が相関関係、類似性があるかを探り、最終的に日韓両語の同系の蓋然性を考察する。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度から平成30年度への直接経費の使用が193,810円発生したので、本来平成30年度の直接経費1300,000に残額が上乗せされ、1493,810円となりそれを平成30年度の原資として使用することになった。本来、平成30年度は最終年度であるが、上乗せ分があるため、余裕をもって使用できるようになった。 (使用計画) 今年度は最終年度の平成30年度では報告書か著書、できれば著書として上梓するよていとしているため、非常に助かるものである。
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