2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370511
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金 慶珠 東海大学, 教養学部, 准教授 (60349420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 批判的談話分析 / 日韓の歴史認識 / 視点設定 / 新聞報道 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究は、当初の計画に基づいて「先行研究の整理および分析枠の調整・構築」、「報道資料の検索・収集」という二つの方向から進められた。 第一の課題である分析枠の構築については、体系機能文法および批判的談話分析の枠組みを検討しながら、「日韓の歴史認識報道」における問題意識の相違を整理した。その結果、日韓の新聞報道には同じ議題を取り上げる場合でも「注視点」の設定に異なる傾向が見受けられ、葛藤言説のテクスト構成における主題情報の選択に相異が認められることを確認した。他方の視座設定においては、韓国側が慰安婦問題や領土問題のみならず、日本の集団的自衛権の解釈変更問題などを幅広く歴史認識をめぐる「日韓の対立軸」として報じる傾向がある反面、日本側の新聞報道ではこれらの動きを「国際社会との協調」という視点からとらえ、日韓の葛藤という両国間の問題としての視点を鮮明にはしていない傾向があることが認められた。 第二の課題である「報道資料の検索・収集」と関連しては、歴史認識問題をめぐる葛藤の時代区分としては、①1965年の日韓国交正常化から1991年までの冷戦期(第1期)、②1991年から2000年までの協力模索期(第2期)、③2000年代から現在に至るまでの葛藤高揚期(第3期)に区分し、各段階におけるメディア言説の在り方を「通時的・共時的」に分析する計画であるが、平成26年度の実績としては1998年以降のデータ収集を重点的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比べると資料の収集に若干の遅れが見られるが、最終的なデータ分析の範囲にはある程度の調整が必要であると思われる。日韓両国の歴史認識をめぐる言説の相違をより具体化するための調整であり、こうした変更点を考慮すれば研究の達成度は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究課題は「報道記事の言語データ化および質的・量的分析」が主になる。この作業は、①収集した報道資料を、パソコンなどに入力、電子データ化する作業②各時期と事象・新聞社・国別に整理し、整理された言語データに対する言語的手段(語彙や他動性など)に対する考察を通じて、視点の設定法を類型化する質的分析の作業が主となる予定である。
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Research Products
(2 results)