2016 Fiscal Year Annual Research Report
The viewpoint in the history issues of the Japanese and Korean media
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26370511
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金 慶珠 東海大学, 教養学部, 教授 (60349420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史認識問題 / 報道視点 / 日韓メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は最終研究年度でもあることから、これまで収集した資料の分析に多くの時間を費やした。データ範囲の設定と見直し及びデータ解析を中心に行った結果、最終段階での研究成果としては、以下の二点をあげられる。 第一に、日韓両国の歴史認識問題の範疇設定(注視点)において大きなずれが見出された。具体的には、日本の報道における歴史認識問題は靖国・慰安婦合意のような「戦前の歴史をめぐる解釈・取り扱いの問題」として限定的にとらえられている半面、韓国の報道においては竹島(独島)の問題や教科書問題、さらには日本の集団的自衛権・憲法改正の動きとも関連して、「現在の日本社会における歴史の解釈・取り扱いの問題」として時間軸の拡大を図っているところに大きな差があった。また、日韓両国ともに相手国の言動や反応に注目した記事が多く、その歴史認識問題の注視点が自国内に向けられていないという傾向に共通点が見出された。 第二に、歴史認識問題を報じる視座と関連しては、明確な差が見られた。韓国においては日韓間の解釈・対応の違いを指摘することで視座の対立軸を構築している半面、日本においては視座の設定自体が曖昧な場合が多く、事態関与者としての視座の一貫性が見出されにくいという特徴が見られた。 日韓の歴史認識報道における「視点の対立軸」を見出すという本研究の目的に照らせば、そうした対立軸が合致しない現象(注視点のずれや視座の鮮明性)こそが日韓メディア情報における「視点の不一致」を生み出しており、そうした報道の視点構造が歴史認識問題に対する日韓の相互理解を妨げる一因であることが推察される結果となった。
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