2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study about Aspectual Expression of Indeclinable Compound Word
Project/Area Number |
26370544
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
福沢 将樹 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30336664)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アスペクト / 語構成 / 接尾語 / 接語 / 助動詞 / 品詞 / 物語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
「時間を表す接尾語について─「寸前」を中心に─」(『愛知県立大学日本文化学部論集』8号、2017年3月)において、接尾語としてアスペクト表現を作りうる体言型アスペクト形式「-寸前」を取り上げ、その語構成論的分析、活用論的・品詞論的分析を行った。体言型形式における名詞/動詞の別について再考を促すものとなった。 「事態継続と期間継続─中世抄物を中心に─」(青木博史ほか編『日本語文法史研究4』ひつじ書房、2018年10月)において、アスペクト形式の意味論的分析を行った。即ち従来「動作継続」として扱われてきた諸形式の意味について、「事態継続」と「期間継続」の区別を提唱した。これは後々物語論的考察にも活かされるはずである。 「草子地を再考する─〈注釈〉という機能を中心に─」(『表現研究』108号、2018年10月)およびその元になる「草子地を再考する―〈注釈〉という機能の広がり―」(第55回 表現学会全国大会シンポジウム、2018年6月2日)において、広義のアスペクト的表現が物語叙述の中でどのような叙述の流れとして把握されるかを整理し直した。また「読者/聞き手を再考する――玉上「三人の作者」「二種の読者」論から――」(物語研究会2019年3月例会ミニシンポジウム、2019年3月16日)もこれに類するものである。 日本語学会(編)『日本語学大辞典』東京堂出版(2018年10月)中の「テンス・アスペクトの歴史」項目、および「古典文法では過去や完了の助動詞がたくさんあるのに,現代語ではなぜひとつしかないのですか」(https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-68/、国立国語研究所「ことば研究館」ことばの疑問:よくあることばの質問、2019年3月19日)において、用言性のアスペクト形式の歴史的変化について整理した。 これらの成果において、体言性アスペクト形式に限定した物語論的考察や歴史的変化の記述は、紙幅の都合上行っていないが、今後の課題となる。
|