2014 Fiscal Year Research-status Report
旧薩摩藩都城および周辺域アクセントの現状と変化に関する研究
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26370546
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
松永 修一 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (40312318)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都城方言 / 尾高一型アクセント / 南九州方言 / 宮崎県 / 方言教育 / 方言音声 / ピッチパターン / 聴覚実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、主に都城市(旧市内)を中心に臨地調査を行った。高年層の伝統的な都城方言話者のモデルとしての方言音声サンプルの収集を目指した。旧市内中心部の上長飯町・東町・姫城町などの5地点と、郡元町・志和地町・沖水町・中郷町などの周辺域、また山田町・高崎町・三股町での調査では、100項目の語彙・音声項目の録音、自然談話録音も併せて行った。 収集した録音資料の分析は、26年度の研究計画で予定していたが、大きく進んでいない。また、モデルとなるケースの抽出も進んでいないのが現状である。 一方、方言教育に関しての調査では、与論町での幼稚園・小学校・中学校・高校で連携して行われているユンヌフトゥバ(与論の島ことば)教育の実態調査を行った。この地域では14年間にわたる、地域住民・学校・行政との協働の活動を基にモデル的スキームの構築に成功している。与論方言は、一昨年、消滅危機言語としてユネスコ指定を受けたのだが、与論町での取り組みは言語再生のための対策モデルとしても注目されるようになるだろう。地域での方言教育の重要性を理解してもらいサポーターになって頂ける方々を増やす活動も併せて行うことが、伝統的な方言文化を単なる理解語ではなく日常の使用言語として復活させるために必要なのだということを実感した。 若年層調査では、高校生を対象とした聞き取り調査と音声サンプルの聴覚調査を行ったが、モデルとなる方言音声の認定が進まず、難航した。また、高校生への意識調査は調査票をはじめとした準備は整えることができたが、実施には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度に収集した録音資料の分析は26年度中におおむね完了するように研究計画で予定していたが、大きく進んでいない。これは、音声データの整理のための音声切り出しに当初予想していた以上の手間がかかってしまったことによる。To Bi Editorなどのツールの習熟にもまだまだ問題があることも要因の一つである。 また、モデルとなるケースの抽出も進んでいない。こちらは何を評価の基準とするかが漠然としていたため、決定できなかったのが実情である。 若年層調査では、高校生を対象とした聞き取り調査と音声サンプルの聴覚調査においても上記のモデルとなる方言音声の認定が進まず、調査には至っていない。聴覚実験と高校生の意識調査も一緒に行う予定だったが、こちらもまだ行うことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
高校生調査に関しては、高校との打合せを早急に済ませ、まずは可能な意識調査を進めながら、協力してもらえるクラスの選定と、パイロット調査が可能な聴覚実験の日程と項目を早期に決定する予定である。語彙に関する多人数調査もこれによって進むことが予想される。 宮崎県における方言教育は鹿児島県に比べると進んでいなかったが、6月から宮崎県教育庁の生涯教育課と意見交換をはじめる事になっている。 また、モデルとなる方言音声の決定も6月までに完了し、聞き取り音声の調整も併せて行い、聴覚実験による調査を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた冊子作成ができなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
7月までにこれらの作成を完了し、予算執行を完了する予定である。
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Research Products
(1 results)