2014 Fiscal Year Research-status Report
動詞の屈折形態と統語位置に関する通時的・共時的研究
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26370579
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
乙黒 亮 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (00433201)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形態論 / 統語論 / 語彙機能文法 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度に実施した研究の成果は主に2点にまとめられる.1点は屈折形態に関してパラダイム基盤分析を進めたことである.とりわけ,これまでの主にゲルマン諸語を対象とした主語の人称,数,性などとの一致素性に対する活用形態に加え,ムード,モダリティを始めとするCP領域に関する素性に対する活用形態の豊かさと動詞の統語的出現位置に関して,一定程度の関係を見いだすことに至ったことである.さらに対象とする言語もケルト諸語,ロマンス諸語に広げ,より類型論的,対照言語学的な視点から当該現象に関して考察を加えた.この成果については,年度末にエセックス大学における研究会で議論し,有益なフィードバックを得た.2015年度には,より広く成果発表の機会を求めた後,論文として完成させる段階にあると判断している.2点目は,パラダイム基盤の分析の際に問題となる同形性(syncretism)について具体的な理論的扱いの考察を行ったことである.この問題に関しては,派生的な課題としてチュクチ語において形態的には逆受動態(antipassive)が統語的には他動性を維持する現象の理論的に解明することに,エセックス大学のAndrew Spencerとともに取り組み始めた.この研究に関しても,年度末の訪英の際に,同氏との研究打ち合わせ,意見交換を行い,研究進展に大きな成果となった.まだ詳細を詰める必要があるため,2015年度中にその他の課題と並行して研究を進め,研究課題終了時までに論文としてまとめる方向性で進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや当初の計画より遅れている理由は,第一子誕生に伴う育児及び勤務校の校務が,申請時の見通しよりかなり大きな時間的制約を生んだため,研究課題に費やすエフォートが当初の予定より大幅に割り込んだことによる.2年目以降改善に向けて対応中である.
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Strategy for Future Research Activity |
上述した通り,多少の遅れは見られるが,当初の研究計画から大きく逸脱することなく進めて行く.研究実績の概要で述べた1点目に関しては,7月の国際LFG学会において開催される形態論のワークショップ,および日本英語学会でのワークショップで発表する予定で調整中で,その準備と並行してより完全な形の論文として公開する.2点目の同形性の研究については7月にAndrew Spnencerが来日するのに際し,共同研究を進め,2015年度中にある程度の研究の方向を固める予定である.また当初の計画にあった通時的な側面に関しての研究,とりわけ英語の動詞活用形態の変化と統語位置の進展が思わしくないため,それらと並行してより重点的に行う.
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Causes of Carryover |
当初の計画く比べ国外での発表機会を確保することができなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を一緒に進めている海外の共同研究者の招聘に関わる費用,および自身の打ち合わせに際して必要となる旅費として使用する見込みである.
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Research Products
(1 results)