2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370618
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
藤森 智子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 准教授 (20341951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 台湾 / 朝鮮 / 国語普及 / 国語普及運動 / 言語政策 / 植民地教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本統治下の台湾と朝鮮における国語普及運動を検討する。 平成26年度は、先行研究の検討と植民地台湾・朝鮮における国語普及運動の理念と展開の検討を進め、国語普及運動が盛んになった1930年代以降の国語普及施設に関する資料収集を行った。国内外の先行研究の他、統計資料、総督府府報や各州庁報、新聞・雑誌記事等の資料を中心に収集した。今年度は日本国内及び台湾の関連機関や図書館において文献収集に当たった。 今年度新たに収集した資料には1930年代以降台湾において展開された国語普及施設「国語講習所」の講師の履歴書、「国語講習所」「幼児国語講習所」「国語講習所講師養成所」等関連施設の写真等がある。前者に関しては、台湾各地の複数の履歴書と併せて検討し、出身地、学歴・教歴等からどのような人物が「国語講習所」で講師を担当していたのかを検討した。そのことにより台湾の都市部と地方の「国語講習所」の差異が明らかになった。教員免許の有無、日本人講師の割合、女性講師の存在、公学校との関連などが都市部と地方の差異を考察する上での重要な特徴となっていることが明らかになった。また、限られた資料からの検討ではあるが、「国語講習所」講師の養成に関する検討も進められた。戦時中の教員不足の状況下にあって、「国語講習所」が公学校を補完する役割を果たし、各地における教員養成講座により、公学校卒業程度の教歴の者に講習が施され、講師として各地の「国語講習所」の講習に当たっていったことが明らかになった。 これら内容と資料は、次年度の図書出版に反映される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、先行研究の検討、文献資料の検討、面接及びその内容整理、台湾の国語普及運動に関する論文の執筆等が予定されていた。先行研究は、植民統治、植民地教育、言語政策、日本語教育史に関する論著の他、国外の関連論著を収集・検討した。文献調査に関しては、学校教育、社会教育、国語普及に関わる統計、総督府等の官報、新聞・雑誌等の関連資料を収集・検討した。面接に関しては、これまでの面接を補足し、その内容を整理した。論文執筆に関しては、おおむね予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り推進する予定である。平成26年度に引き続き、先行研究の検討、文献資料の収集を行う。文献調査は、日本国内では関連機関所蔵の資料のほかにデジタル化されている資料や新聞・雑誌等の復刻版を利用し、台湾・韓国では関連機関・図書館所蔵の統計、法令、関連資料及び新聞・雑誌記事等を中心に収集、検討する予定である。平成27年度は台湾の国語普及運動に関する図書を刊行する予定である。図書出版のための図表や写真等の資料も併せて収集しながら、朝鮮との比較検討へとつなげる予定である。
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Causes of Carryover |
予定した物品・消耗品が未購入のため未使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は関連図書・消耗品等の物品購入に当てる予定である。そのほかは、国内外旅費などによる「旅費」、研究補助、校閲等の謝金などによる「人件費・謝金」、複写・製本費、通信・運搬費等による「その他」にいおて使用する計画である。
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