2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370618
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
藤森 智子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (20341951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本統治 / 台湾 / 朝鮮 / 国語 / 国語普及運動 / 国語講習所 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、文献資料の収集・検討及び図書の刊行を行った。前年度に引き続き、国内外で内地、台湾、朝鮮において戦前に刊行された「国語普及」「国語常用」「社会教育」または「同化主義政策」など植民統治と国語普及政策・運動に関する文献を収集、検討した。また、同様に官報、教育雑誌や関連雑誌、新聞記事、あるいは外交文書等から関連資料を収集、検討した。 資料の収集、検討に加え、当該年度は日本統治下台湾の国語普及運動に関しての著書執筆に従事した。著書『日本統治下台湾の「国語」普及運動ー国語講習所の成立とその影響』は慶應義塾大学出版会より2016年2月25日に刊行された。著書においては、文献調査により台湾総督府の国語普及政策を検討すると同時に、台北州海山郡三峡庄、同州基隆郡万里庄、新竹州関西庄、高雄州東港郡琉球庄の台湾4地域の事例調査から国語普及運動の実態を明らかにした。 台湾総督府による国語普及は、1930年代以降、台湾各地に設けられた「国語講習所」によって飛躍的に伸長した。総督府の国語普及政策の最大の目的は、植民地の人々に国民精神を涵養することにあった。単に日本語を習得するだけでなく、それと同時に日本精神も習得されなくてはならないこと、日本語には日本精神が宿っているといったことが、当時、新聞雑誌等のメディアを通じて強調された。その一方で、事例調査からは、実際に「国語講習所」に通うことが台湾人にとって「社会教育」の実利をも目的としたものであったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、文献資料の収集及び検討を行うこと、日本統治下台湾の国語普及運動に関する著書を出版すること等が予定されていた。文献調査は、前年度に引き続き、国内外で内地、台湾、朝鮮において戦前に刊行された「国語普及」「国語常用」「社会教育」または「同化主義政策」など植民統治と国語普及政策・運動に関する文献を収集、検討した。また、同様に官報、教育雑誌や関連雑誌、新聞記事、あるいは外交文書等から関連資料を収集、検討した。また、著書『日本統治下台湾の「国語」普及運動ー国語講習所の成立とその影響』(慶應義塾出版会)を刊行した。ほぼ当初予定されているとおりに進捗しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに推進する予定である。引き続き文献資料の収集及び検討を行う予定である。「国語普及」「国語常用」「社会教育」または「同化主義政策」に関連する資料の収集を、国内外で行う。また、国語普及に携わった経験者へのインタビュー調査も進める。面接は対象者の高齢化により年々困難になってきているが、次年度においては面接を予定している。 また、台湾の国語普及運動に関しては、著書の中で論じることができなかった社会教育の教員に関する論著を執筆する予定である。
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Causes of Carryover |
主に当該年度に発生した物理的制約によって、予定されていた出張が行えなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に出張を遂行する。
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