2015 Fiscal Year Research-status Report
アジア化する語学留学空間と日本人学生への他者的眼差し:「海外経験」の国際比較調査
Project/Area Number |
26370692
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小林 葉子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (00352534)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アジア英語圏 / 欧米英語圏 / (ノン)ネイティブ教師 / 日本人(東アジア人学生)の沈黙 / 非白人学生間の異文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 初年度に引き続き、文献調査を行った。 2. マレーシアの大学付属ESLセンター(複数校)に所属する教員スタッフを対象に、アンケート調査とインタビュー調査、そして現地フィールドワークを実施した。 3. 以下の成果をまとめ、雑誌発表と学会発表のための準備を行った。 (1)「東南アジア英語圏での英語研修の良さ」についての語りが多く聞かれ、その際には欧米Inner-Circle英語圏との(無意識的な)比較がなされている場合が多かった[例:文化多様性に敏感な多言語話者のマレーシア人vsモノリンガル英語話者が多い欧米英語圏; BA/MA(TESL)のマレーシア人教員vs 数か月で取得可能なCELTAのみの「白人英語ネイティブ」教員][補足:CELTA-Certificate in Teaching English to Speakers of Other Language]; (2)予想以上に、中東・アラブ諸国からの留学生(pre-university students, 大学入学前学生)が多かったが、彼らとの異文化交流が日本人学生たちに与える好影響について、多くの事例や語りが得られた[補足:9/11以降、イスラム教徒の留学生が増加]; (3)流暢さと正確さにおいて高い英語力をもつ(ことが確認できた)現地教員たちだが、家庭でも英語を使う世帯が多いシンガポールとの違いなどに言及し、彼ら自身は「ネイティブではない」との意識を持っていた;(4)ただしCELTA程度の「白人英語ネイティブ」教師とも異なり、4~6年間TESL教師になるための専門トレーニングを受けた点を強調・自負する場合が少なくなかった; (5)欧米英語圏での先行調査と同じく、ただし予想以上に、日本人学生たちの発言力の欠如と対照的な中東・アラブ系学生たちの積極性について指摘するスタッフが非常に多かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。初年度に引き続き、本研究に関連する和文(英文)文献が少ない点では苦労しているが、データ収集において予想以上の成果を上げることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画に基づいて、研究を推進していく予定である。2年目に得られたデータの分析結果を踏まえ、さらなる調査の計画を開始すると同時に、学会発表・論文投稿の準備を継続していく。
|
Research Products
(8 results)