2016 Fiscal Year Research-status Report
北米の大学で学ぶ日本人・韓国人・中国人の英文ライティングに見られる文法知識の特徴
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26370720
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡裏 佳幸 福岡工業大学, 社会環境学部, 教授 (00389397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文法知識 / 英文ライティング / ライティングタスク / 第二言語としての英語学習者 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、北米の大学で学ぶ日本人・韓国人・中国人の英文ライティングを用いて、言語知識を構成する4要素のうち、文法知識の特徴について検証することと、日本人・韓国人・中国人の特徴的な文法知識に関する分析結果と、それぞれの英語学習者が留学前に自国で受けてきた外国語としての英語教育との関連を比較・分析することである。 本研究期間(平成26~29年度)の3年目にあたる平成28年度において、主として、以下の3点を実施した。まず、第二言語習得の権威であるNina Spada博士(トロント大学教授)との意見交換、トロント大学ロバーツ・ライブラリーでの文献資料収集である。次に、前年度にリストアップした調査対象候補の大学から、入学要件のTOEFLスコアを基準として、アメリカ、カナダの対象大学を絞り込み、データ収集の許可申請の準備を進めた。同時に、Facebookやtwitterを通じて、研究協力者を募る方法も検討した。最後に、第一言語としての英語学習者であるカナダ人のデータを収集できるように、昨年度構築したウェブを改良し、部分的にデータ収集を開始した。本研究課題の対象となっている、北米の大学で学ぶ第二言語としての英語学習者である日本人・韓国人・中国人の英文ライティングに見られる文法知識と、第一言語としての英語学習者であるカナダ人の英文ライティングに見られる文法知識とを比較研究することによって、前者の特徴をより明確に把握することができるためである。さらに、カナダ人のデータ収集に使用したライティングタスクを差し替えることによって、アメリカ人のデータ収集も実施できるよう、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度における研究計画として、次の3点を想定していた。第1に、英文ライティングのデータ収集、データ分析についての専門家との意見交換である。平成28年9月にトロント大学を訪問し、Nina Spada教授と議論の機会を持つことによって、第二言語習得の観点からの有益な情報を得ることができた。第2として、前年度にリストアップした調査対象候補の大学から、入学要件のTOEFLスコアを基準として、アメリカ、カナダの対象大学を絞り込み、データ収集の許可申請の準備を進めることであった。許可申請の準備を進めると同時に、Facebookやtwitterでの研究協力者募集の方法も検討した。第3に、第一言語としての英語学習者であるカナダ人のデータを収集できるように、昨年度構築したウェブを改良することであった。部分的ではあるが、既にカナダ人を対象としたデータ収集を開始している。 それゆえ、平成28年度までの研究は、概ね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成29年度は、データ収集とデータ分析を実施し、研究総括を行う予定である。第1に、北米の大学で学ぶ日本人・韓国人・中国人の英文ライティングに見られる特徴的な文法知識を明らかにする。第2として、第二言語習得におけるインプットの影響が、研究対象者の英文ライティングに何らかの形で反映されると予測している。それゆえ、第二言語習得におけるインプットの権威であるPatsy Lightbown 博士(コンコーディア大学名誉教授)、Nina Spada博士(トロント大学教授)との意見交換を検討している。 今後の研究をより発展的に推進する方策として、本研究課題の対象となっている、北米の大学で学ぶ第二言語としての英語学習者である日本人・韓国人・中国人(NNS)の英文ライティングに見られる文法知識と、第一言語としての英語学習者であるカナダ人の英文ライティングに見られる文法知識との比較研究を、試験的に実施する。この手法によって、前者の特徴を明確に把握することができるだけではなく、今後のより発展的なNNSとNSの英文ライティングに見られる文法知識の特徴に関する国際共同研究に移行する準備を整える。
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Causes of Carryover |
最終年度は、国際学会においてこれまでの研究成果報告を行うとともに、研究総括に向けての意見交換、最新理論に関する文献資料を収集する予定である。具体的には、6th Second Language Pedagogy Conference(April 27-28, 2017, Montreal, Quebec, CANADA)、TESL Canada(June 8-10, 2017, Niagara Falls, Ontario, CANADA)において、研究発表を実施することが決定している。また、研究総括に向けて、ライティング研究、インプット研究の専門家との意見交換を実施するとともに、最新理論に関する文献史料を収集する。 したがって、国際学会、意見交換、文献資料収集のための調査活動旅費として、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述のとおり、カナダで開催される国際学会において、研究成果報告を行う必要がある。さらに、カナダ、アメリカのライティング研究、インプット研究の専門家との国際共同研究への発展可能性を十分に考慮して、現地での意見交換を通じて、より効果的なデータ分析、研究総括を行うことを最優先に考えている。 それゆえ、次年度使用額については、主として、2度の国際学会での研究成果報告、カナダ、アメリカでの意見交換、文献資料収集のための調査活動旅費として、使用する計画である。
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Research Products
(4 results)